2013年 04月 22日
過去に何回か出かけた海外のバードウォッチング旅行ではチャンスがあれば蝶の写真を撮ってきた もともと鳥は家内の専門分野で、自分は蝶の写真をメインにしてきた 国内の鳥や蝶の撮影はいろいろ情報があるため、自分たちで計画を立てて出かければよいのだが、海外は情報と言葉の問題があり、専門の旅行会社に依存することが多くなる 世の中にバードウォッチングや花の観察を目的とするツアー企画は多いのだが、さすがに蝶を探すツアーは見当たらない そんな訳で家内が参加するバードウォッチングツアーに同行して、海外の蝶の写真を狙う作戦を立て、かなりの成果が上がっている もっとも最近ではミイラ取りがミイラになる傾向があって、自分自身のテーマも少しずつ蝶から鳥へ移転しつつあるのは否めない 昨年は海外へ3回出かけたが、冬のカナダ、春の北欧、秋のニュージーランドといずれも蝶に縁のない旅行であった(ニュージーランドには蝶がいないということは現地へ行って初めて知ったのだが) 今年は円安という背景もあり、近場の東南アジア狙いとなったが、行く前から蝶撮影に期待していた 今回のツアーで痛感したのは機材の問題である 今までの旅行では蝶撮影用の100ミリマクロレンズと400ミリのMF望遠レンズで鳥の撮影もこなしてきた しかし鳥の撮影ではちょっと力不足なので、最近、鳥撮影用の560ミリ超望遠を取得し、今回はこれを携行した 事前に覚悟をしていたもののこれがやたら重く機動性に欠ける つまりマクロと2台の望遠レンズの同時使用は物理的に(あるいは年齢的に)無理なのだ やってみればわかるのだが最短撮影距離を5~6メートル確保する必要のある560ミリで動きのある蝶を撮影するのはまず不可能である そんな訳で現地では機動性重視の昔のスタイル(100ミリマクロと手持ちのMF400ミリ)に戻ることがほとんどであった それでも東南アジアは「蝶の楽園」 昔スリランカやマレーシアなどで出会った蝶たちと再会することができたので3回に分けて蝶の写真をアップして行きたい ミカドアゲハ バリ島ではアゲハをあまり見かけず、多かったのがアオスジアゲハぐらいだった この種類はは動きがとても速く、吸水や吸蜜のチャンスでないと撮影が難しい カワセミを探してジャングルの中の川辺に寄った時に吸水中のアオスジアゲハのような蝶を見つけた 日本ではアオスジアゲハより希少なミカドアゲハだった ジャワヘリグロシロチョウ バリ島ではいろいろなシロチョウに出会った 一番うれしかったのはジャワヘリグロシロチョウ(Belenois java)の産卵シーンに出会い、外見の異なるオスとメスをワンショットで撮影できたことである 写真で見る通りオスは翅表が見事に白と黒に二分されていて日本でいえばミヤマモンキチョウの印象である 日本名にも学名にもジャワの表現があるが、メインの分布域はニューギニア、オーストラリアのようでオーストラリアの図鑑にも載っている この蝶を撮影したのはツアーのメインターゲットである希少種の鳥カンムリシロムクの棲息地であり、鳥に夢中の同行者の皆さんと少し別行動をして蝶と戯れる時間を過ごした スジグロトガリシロチョウ 東南アジアのシロチョウ類は同定が難しい 日本の図鑑にない種類の識別に一番頼りにしているのが「タイ国の蝶」という図鑑で、この蝶がスジグロトガリシロチョウであることは間違いないと思う ビジネス以外でタイを訪問したことがないが、いずれ出かけたいと思っている タイワンシロチョウ こちらは日本でも八重山諸島に定着しているタイワンシロチョウだ もっとも日本では希少種でいつも写真が撮れるわけではなく、出会うことも結構難しい 翅表の白っぽいほうがオス、黒がメインなのはメスである タイワンスジグロチョウ➡スジグロトガリシロチョウ 閲覧者からご指摘があり種名を訂正する この蝶は前々項のスジグロシロチョウのメスだ オスのコメントに書いた「タイ国の蝶VOL.1」のスジグロトガリシロチョウメスの裏面写真はまさにこの写真の通りだった メスシロキチョウ? タイトルに疑問符をつけたように、この蝶は種名が特定できていない 翅裏に銀紋のあるシロチョウで日本にも棲息する蝶はウスキシロチョウやウラナミシロチョウなどがいるが、どちらも翅の先端が尖っていて写真の蝶とはイメージが違う 要するに翅の表が確認できていればよいのだが、バードウォッチングのスケジュールの中の副業なので、確認する時間もなく後で苦労することになる 最有力候補はメスシロキチョウで、この蝶(オス)は翅表に大きなオレンジ色の部分があってすぐ識別できる 蝶撮影のための旅行ではないので、種名不詳はご容赦願いたい キチョウの仲間 日本のキチョウに似た黄色い蝶は東南アジアにはやたら多い 日本の中だけでもキチョウ、キタキチョウ、タイワンキチョウとそっくりさんが多いのに、もっと種類の多い外国で同定するには採集しかないかと思うが、ここでは単に「キチョウの仲間」としておく ツマベニチョウ 沖縄の蝶の代表のようなツマベニチョウはあちこちで見かけたが、この蝶は落ち着きのない蝶で、花で吸密するチャンス以外はなかなか写真を撮らせてくれない 適当にシャッターを押した中にツマベニチョウとわかるものがあったので、一応参考用にアップしておく クロテンシロチョウ この蝶は日本でも見ることができる もちろん外来種で当初、与那国島だけに定着していたが、そのうち石垣島でも普通に見られるようになった こちらは静止写真を撮るのは簡単なのだが、クロテン(黒点)のある翅表をジャスピンで捕えるのが結構難しい 時間制限のある中挑戦してみたが、あまりよい写真は撮れなかった COMMON PIERROT 普通のピエロ(道化師)という英名を持つこのシジミチョウは、前にスリランカで出会っている 英名はわかるのだが和名はわからない 自分の持っている図鑑で和名があるのは先にふれた「タイ国の蝶」だけで、マレーシア、オーストラリア、スリランカの図鑑は英文だけ、そして「タイ国の蝶」はvol.1しかなくシジミチョウのデータがないので英名がわかっても和名不詳ということになる インターネットの和訳もトライしてみたが「普通のピエロ」だった ウラナミシジミの仲間 例のカンムリシロムクがいるフィールドの下草にこのウラナミシジミが無数に飛んでいた 尾状突起のないウラナミシジミなので最初はヒメウラナミシジミかと思っていたが、後翅裏面の黒点が明瞭で二つある ヒメウラナミシジミの黒点は一つで、二つあるのは(日本の蝶では)マルバネウラナミシジミということになる このマルバネウラナミシジミは別名をオガサワラウラナミシジミといい、オガサワラシジミやオガサワラセセリとともに小笠原の固有種となっている 同定上の問題は二つある黒点の大きさで、マルバネウラナミシジミは日本の蝶図鑑で見る限り黒点が非常に小さい 写真はたくさん撮影したので、詳しい方にご教示いただければ幸いである クロマダラソテツシジミ この蝶は南西諸島から関東地方まで勢力を伸ばしてきたインベーダーのクロマダラソテツだと思う もともと東南アジアの普通種だが、数年前に日本に侵入しソテツの害虫となってしまった あまり増えすぎてニュースにもならず最近は情報もないが、今でも元気なのだろうか ハマヤマトシジミ? 小生のホームページ(日本の蝶230種)にハマヤマトシジミを載せているが、あるベテランの方から異議申し立てがあった 撮影地である宮古島には現在ハマヤマトが棲息せず、日本では南大東島限定だとのお話である もともと日本では希少種だが、グローバルには普通種だと思うのでずぼらをして掲載したままにしているが、気にはなっている とにかく非常に小さい蝶で採集をしないと判定が難しい ヒメシルビアシジミ 10年前、蝶撮影を始めた頃はシルビアシジミとヒメシルビアシジミの区分がなく、同一種であった シルビアシジミのほうは数は少ないものの関東地方にも棲息するが、ヒメシルビアシジミは南西諸島限定である リタイア後、南西諸島に通いだしたので、シルビアよりはヒメシルビアのほうが撮影は先だった 種名不詳のシジミチョウ 我が家の図鑑には該当種が見つからないシジミチョウ もっとも海外の図鑑は日本のもののようにきちんとオスメス、裏表などが表示されておらず、翅裏の写真だけでは同定が難しいと思う
by mustachio
| 2013-04-22 11:05
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