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還暦からのネイチャーフォト

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2014年 06月 06日

小笠原の植物

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父島・母島など小笠原諸島のメインの部分は海上に現れてから300万年以上を経過しているそうだ
典型的な海洋島で海上を浮遊して来た種子などにより植物が上陸定着し、独特の進化を遂げている
といってもほとんどが南方系の植物と共通種で、ざっとしたイメージでは沖縄周辺の植物とあまり変わらない
その中にも「固有種」になっているものがかなりあるので整理してアップすることにしたい

ガジュマル
ガジュマルは沖縄地方にも多い東南アジアの普通種
気根が発達し、若いうちは他の植物に寄生するが、成長すると自前の気根(支柱根)で自立し大木になる
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タコノキ
蛸の足のような多数の気根が特徴で見ればすぐわかる
こちらは小笠原の固有種だ
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オガサワラビロウ
ビロウはシュロに似た植物で九州や四国南部でも見られる
このオガサワラビロウは進化して分類学的に別種になったもので、小笠原の固有種となっている
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マルハチ
南西諸島に見られるへゴの仲間  いわゆる木性シダの仲間で大きな葉を傘のように拡げる
マルハチの名前の由来が面白い、というかわかりやすい
2枚目の写真の幹の部分を見ていただくと一目瞭然なのだが、漢数字の八を丸で囲んだ模様(ブログでこの文字が再現できるかどうか不明だが  ㊇ )が並んでいる(上下は反対になっているが)
小笠原の固有種なので現地へ行かれたら是非実物を見ていただきたい
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ヤロード
植物図鑑やガイドブックなど手持ちの資料では確認できなかったので正式な植物名かどうかは不明だが、現地のガイドさんが教えてくれた
面白いネーミングだと思ったが、要するに英語のイエローウッドの発音をそのまま植物名にしただけだという
亜熱帯雨林の中にその「黄色い実」がたくさん落ちていた
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タマナ・モモタマナ
イメージとしては内地のホオノキに似ている
東南アジア、南太平洋の海岸に生える塩害や台風に強い大木で、タマナは常緑、モモタマナは紅葉するらしい
小笠原の樹木の代表種だ
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デイゴ
写真のデイゴは港の近くで撮影したもので完全な自然木かどうかは不明
他にはデイゴを見かけなかったが自生はしているようだ
デイゴの花は桜と同じように春の芽吹き(葉)の前に花が咲く 深紅の花を久しぶりに見たのでシャッターを切った
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クサトベラ
沖縄など南の島に多い低木  どちらかというとオセアニア系でオーストラリアやマリアナ方面で見かける
そういえば先月の三宅島にもクサトベラが咲いていた
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ゲットウ
琉球列島に多いショウガ科の花
「南国」を感じさせる植物である
クロセセリやオオシロモンセセリなど南方系のセセリチョウの食草だが、小笠原にはこれらの蝶はいない
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ランタナ
海外で外来侵入植物のワーストの一つに数えられるランタナ
日本の南西諸島にも多いが東南アジアのたいていの国で見かける  外国では蝶が集まる吸蜜対象植物なのだが....
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ハイビスカス
小笠原には自然のハイビスカスも多いのだが、何分栽培種(園芸種)の数が多く、写真の花も由来は不明である
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ノボタン
小笠原の父島にはムニンノボタンという完全な固有種があるのだが、こちらは母島のノボタンで共通種のようだ
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ヒルガオ科の花
こちらも沖縄周辺と小笠原の共通点だが、島にはヒルガオ科の花が多い
部落周辺にはノアサガオ、海岸にはハマヒルガオやグンバイヒルガオが咲いていて、どこの島も同じような印象となる
朝顔類の種は本当に海を渡って増えていくのだろうか
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アメリカハマグルマ
南西諸島でもよく見かけるキク科の花
外来植物で小笠原のハンドブックなどにも名前は載っていないが、アメリカハマグルマで間違いないと思う
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オニタビラコ
こちらのキク科もローカルなハンドブックでは名前がわからない
姿形から単純にオニタビラコと断定して良いと思うが、どういう経路で小笠原に入ったのだろうか
道路脇のあちこちに群落が見られた
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オオバナセンダングサ
北米原産の帰化植物
西表や石垣など南西諸島へ行くとアメリカセンダングサが野原や道路わきなど到る所に咲いていて南方系の蝶が吸蜜している
小笠原にもこのオオバナセンダングサがどこにでも咲いていて、いかにも蝶が集まってきそうな雰囲気だったが、蝶は一匹も見ることができなかった
亜種が異なるかどうか不明だが、沖縄のセンダングサより小笠原のセンダングサのほうが名前の通り花がでかい
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ムラサキカタバミ
帰化植物でこちらは南米原産
もともと園芸植物だったものが野生化したようで島に限らず本土にも多い
工事用の重機などについて小笠原に入ったのだろうか、数は多かった
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ナガボソウ
こちらも南アメリカ原産
小笠原には戦前から入っているという
沖縄方面にも多い花で、体質的に南の島が好きな植物のようだ
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マメ科の花
いわゆるエンドウの仲間のハマエンドウやカラスノエンドウではないが、海岸付近ではマメ科の花が見られた
黄色いのはタヌキマメ、ピンクのはツルナタマメだと思うがあまり自信はない
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テッポウユリ
テッポウユリは日本では奄美以南に咲く南国のユリだ
小笠原でもテッポウユリが群落で咲いていた
小笠原諸島は東京都だが緯度は奄美大島と変わらない
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オオバシマムラサキ
先に登場したオガサワラシジミの食草
クマツヅラ科の植物で要するにムラサキシキブの親戚である
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オオハマギキョウ
今回撮影した「小笠原の植物」の中で最強のトップスターはこのオオハマギキョウだと確信している
キキョウ科ミゾカクシ属の植物で、確かに花の形状は似ているのだが、ミゾカクシが田んぼの脇に生える小さな花なのにこちらは高さ2~3メートルまで成長する巨大植物である
もちろん小笠原特産の固有種で父島では野ヤギの食害に会って絶滅してしまい母島と東島にしか残っていない
花が咲くまでの生長期間は5~6年、一生に一度だけ開花する希少植物の美しい姿をゆっくりご覧いただきたい
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オオハマボッス
ハマボッスは全国的に分布する海岸植物
小笠原のオオハマボッスはその変種(種レベルの別種かどうか不明)である
花序にたくさんの花をつけると払子(ホッス:禅僧が煩悩を払うハタキのような仏具)に見えるのだろうが、花は1輪しか咲いていなかった
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オガサワラアザミ
母島北部の海岸の崖にオガサワラアザミを見つけた
冠名からもわかるように小笠原の固有種だ
残念ながら花が咲く少し前の蕾状態だが、このアザミは花がピンクではなく白色である
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マルバシマザクラ
近似種のシマザクラも同じなのだが桜の仲間でも桜草の仲間ではなく、アカネ科の常緑小低木(草本状)である
色だけは桜色だが花の形はサクラやサクラソウとは全く異なる集散花序タイプだ
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ツルワダン
ワダンというのは関東・東海の海岸に生えるキク科の植物で冬に黄色い花をつける
このツルワダンというのはやはりキク科だが今回初めて出会った花だ
こちらは冬に限らず1年中花をつけるようで5月でも黄色の花が見られた
茎をツル状に地上に伸ばして茎の先から新しい株を増やしていタイプで生命力がありそうだが、絶滅危惧種に指定されているという
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ムニンヒメツバキ
漢字で書くと無人、ムニンというタイトルが付く植物名は他にも多数ある
要するにオガサワラというのと同意らしい
このヒメツバキは小笠原村の花でたまたまタイミングが良くあちこちで見ることができた
もちろん椿の仲間でイメージは「立派な山茶花」
初めての出会いだったが、上品なのに印象の強い花だった
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by mustachio | 2014-06-06 10:41 | Comments(0)


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