2015年 01月 31日
タスマニア自然探訪の最終回は「小鳥編」 オーストラリア大陸と海を隔てているので固有種の小鳥も多い ただその前に触れておかなければならないのが例の移入種だ オーストラリアの南に位置するこの島は南北が逆転するだけでヨーロッパと気候が似ている 過去にここに住み着いた人たちはヨーロッパから野鳥まで持ち込み、ミニヨーロッパを作ってしまった ニュージーランドほど極端ではないがタスマニアでも普通にヨーロッパの鳥を見ることができるので、小鳥編はヨーロッパの鳥からスタートすることとしたい イエスズメ(HOUSE SPARROW) 町の中には普通にスズメがいる もっとも日本のスズメ(英語ではTREE SPARROW)ではなく頭が灰色のHOUSE SPARROWである カバイロハッカ(COMMON MYNER) いわゆるインドハッカでヨーロッパの鳥ではないが、移入されてオーストラリアに定着している ヨーロッパから来た近似種のホシムクドリ(COMMON STARLING)がタスマニアにいるのだが、写真は撮れなかった クロウタドリ(COMMON BLACKBIRD) こちらは完ぺきなヨーロッパからの移入種 オーストラリアでは初期にイギリス人が住み着いた南東部限定で定着している ゴシキヒワ(EUROPIAN GOLDFINCH) カラフルな小鳥なので地元の鳥のように見えるが、英名のとおりヨーロッパの小鳥 他にアオカワラヒワも移入され定着している 移入種はだいたいこのくらいで以下はオリジナルの野生種である オーストラリアツバメ(WELCOME SWALLOW) 人為的に移動させなくてもツバメは自前で移動することができる 日本のツバメは冬にはオーストラリア北部まで移動するようだが、オーストラリアにはこのオーストラリアツバメがいる こちらは南北移動をするのだがせいぜい大陸の範囲内で、タスマニアのツバメも寒い冬には温かい北へ移動するようだ 胸に黒帯はなくリュウキュウツバメに似ている キビタイツバメ(TREE MARTIN) SWALLOWではなくMARTIN 日本でいえばイワツバメのグループに属するほうのようだ(尾の形状が異なる) 草原の上を飛び回り虫を捕えていた ミドリホウセキドリ(FORTY-SPOTTED PARDALOTE) オーストラリアの固有種としてホウセキドリの仲間がいる 尾と嘴が短く、白い斑点がある非常に小さな小鳥だ(この白い斑点が宝石鳥の名前の由来らしい) 特にタスマニアにはタスマニア固有のミドリホウセキドリという種類がいてホワイトガムという特定のユーカリの木で観察することができた(観察用の櫓が出来ていてかなり近い距離で見られる) キボシホウセキドリ(STRIATED PARDALOTE) 同じ観察用の櫓からもう1種のホウセキドリも見ることができた 英名が示すようにこちらは羽のデザインが白点ではなく白線でタスマニアの固有種ではない ハイイロオウギヒタキ(GREY FANTAIL) ファンテールの仲間は「南国の鳥」のイメージがある オーストラリアでもほとんどのファンテールが南部沿岸に棲息するようだが、このハイイロオウギヒタキは全国区のようでタスマニアでも出会うことができた ヨコフリオウギヒタキ(WILLIE WAGTAIL) もう1種のオーストラリア全国区ファンテールがこのヨコフリオウギヒタキ 同じオウギヒタキの仲間なのにこの鳥だけ英名がWAGTAILだ ということはこの鳥は尾を開いて扇にすることができないのだろうか 確かによく尾を振っていたが開くところは見られなかった オーストラリアオニサンショウクイ(BLACK-FACED CUCKOO-SHRIKE) オニサンショウクイ(CUCKOO-SHRIKE)の仲間は日本にいないのでなじみがないが、アジアのBWツアーでは見る機会が多い オーストラリアのオニサンショウクイは顔が真っ黒で凄味がある ウスズミモリツバメ(DUSKY WOODSWALLOW) こちらも日本では縁がない鳥だが念のため日本の鳥の図鑑をチェックして見たらWHITE-BREASTED WOODSWALLOWは迷鳥として記録があるようだ オーストラリアにはモリツバメが6種いるがタスマニアで見られるのはこのウスズミモリツバメだけである 確認はできなかったが飛ぶと翅の裏側が真っ白らしい ハイイロカッコウ(PALLID CUCKOO) このカッコウはツアーの初日にユーカリの森で出会った(といっても森はほとんど「ユーカリの森」なのだが) 写真の個体はまだ幼鳥で時々親から餌をもらっていた ご存知のようにカッコウは托卵するので親は「育ての親」である 体長が半分以下の小さなヒタキに大声で餌を催促する様子は不気味でさえあった ハイイロモズツグミ(GREY SHRIKE-THRUSH) モズツグミという鳥も今回初めて知った 中肉中背のごく普通の小鳥でモズにもツグミにも似ていない 特徴がないので名前はすぐ忘れてしまうと思う ビロードヒラハシ(SATIN FLYCATCHER) こちらも初対面だがインパクトは全く異なる 紺色と白の2色構成で誰が見てもまさにオオルリそのものなのだ(オオルリの英名はBLUE-AND-WHITE FLYCATCHER、冬は南に渡るがオーストラリアまでは行かない) この出会いは将来も忘れることはないだろう クロガオミツスイ(NOISY MINER) 大きさも形態も2番目に取り上げたカバイロハッカによく似ているが外来種でなく地元の鳥 カバイロハッカがスターリング(ムクドリ)系であるのに対し、こちらはミツスイの仲間である 目の周りに黄色いリングがあり、どんぐり眼の漫画チックな顔をしている 町中でも見られ英名のとおり騒々しい鳥だ ズグロミツスイ(BLACK-HEADED HONEYEATER) 顔黒ではなく頭黒、つまり首から上の頭部が黒い 顔黒のほうはオーストラリア東部に広く勢力圏を張っているが、頭黒のほうはタスマニアの固有種 目の周りのリングは白く、上半分の三日月状である キノドミツスイ(YELLOW-THROATED HONEYEATER) 続いてこちらもタスマニア固有種のミツスイ 喉の部分がまっ黄色なのでキノドミツスイという タスマニアはもう1種オリーブハチマキミツスイという固有種がいるのだが見ただけで写真撮影はできなかった ハイガシラミツスイ(LITTLE WATTLEBIRD) ミツスイの仲間にWATTLEBIRDという小グループがある WATTLEというのは耳垂れ、七面鳥の顔にぶら下がっている肉垂のことだ このハイガシラミツスイは全体がダークブラウンにチョークストライプという渋いデザインだが肝心の耳垂れはない キミミダレミツスイ(YELLOW WATTLEBIRD) こちらのWATTLEBIRDは名前の通り完ぺきな耳垂れがある 遠い位置だったので写真が不鮮明であるが、目の後ろあたりから黄色い細い耳垂れがぶら下がっているのがお分かりいただけるだろうか この耳垂れが何のためにあるのかは残念ながらわからなかった なお、こちらもタスマニア固有種である メジロキバネミツスイ(NEW HOLLAND HONEYEATER) ミツスイの写真は花で蜜を吸うところが撮りやすいのだが、今までに登場したミツスイはどれも花には来ていなかった 花に集まっていた唯一の例外がこのメジロキバネミツスイ 群れを作る性癖があるようで徒党を組んで花に集まり大騒ぎしていた タスマニアヒタキ(DUSKY ROBIN) 小鳥編もそろそろ終わりに近づきロビンの登場となる タスマニアヒタキというのはタスマニアの固有種なのだが、個性がなくわかりにくい小鳥だ 他のロビンたちはメスが地味でオスが派手というのが定石だが、このタスマニアヒタキはオスもメスも同じように一般のメスと同じような地味な姿をしている 生存、種族保存のためにはそれが一番の正解なのかもしれないが サンショクヒタキ(SCARLET ROBIN) こちらはオスが派手でヒタキらしいヒタキ 三色といっても内二色は白と黒で、三色目の赤が目立つ 要するに英名のSCARLETがわかりやすい ノドアカサンショクヒタキ(FLAME ROBIN) 続いての登場はノドアカサンショクヒタキ 「喉が赤い」サンショクヒタキではなく「喉まで赤い」サンショクヒタキなのだ サンショクヒタキは胸の中央部分が赤いのだがこちらはくちばしのすぐ下から腹まで赤い トップ(タイトルバック)の写真が今回のツアーのビューティコンテストNO.1ではないかと思う (ちなみに2番目の地味な鳥はノドアカサンショクヒタキのメスである) ルリオーストラリアムシクイ(SUPERB FAIRY-WREN) 名前にWRENとあるのでミソサザイの仲間かと思ってしまうがそうではない FAIRY-WRENはオーストラリアムシクイというグループでヒタキの仲間である 尾をまっすぐ上にあげる仕草がミソサザイに似ているので命名されたようだ このルリオーストラリアムシクイにはいろいろなところで出会ったがライトブルーの印象が鮮烈でタスマニア自然探訪連載シリーズの「トリの鳥」として使わせてもらった (例によって2番目の地味な鳥はメスである)
by mustachio
| 2015-01-31 17:03
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