2016年 04月 29日

ブータン王国15日間昆虫編

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ブログリピーターの方にとってはくどい説明となり申し訳ないが、バードウォッチャーの家内に同伴して海外のバードウォッチングツアーに参加する個人的な目的は海外の自然環境の中で蝶をはじめとする昆虫類を観察することである
世の中にコマーシャルベースのインセクトウォッチングツアーが存在しないようなので、海外蝶観察の個人的手段としてはバードウォッチングツアー参加がコンビニエントかつベストと確信している

今回のブータンツアーについては出発前から大きな期待を抱いていた
何しろあの「ブータンシボリアゲハ」の国なのだ
季節は春、訪問先も高地から低地までバリエーションがあり、無数の美しい蝶に出会えるのではないかと勝手に夢想していた

結果は...というと、それほどでもなかったというのが実態である
以下、写真をご披露するのでお分かりいただけると思うが15日もブータンに滞在して、蝶の写真はあまり撮影できず、まさにツアーの本来の目的である「野鳥撮影」に終始した15日間であった

確かにブータンは自然豊かな国ではある  しかしながら95%が山で、アクセス不能の土地ばかりなのだ
日本なら草原もあり、森林にも簡単に入って行くことができるのだが、ブータンの山は急峻で、自然観察は一般道路脇の限られたスペースで行うことになる

蝶が多かったのはJIGME DORJI国立公園内の道路脇くらいで、温かい南部の低地ではモンシロチョウとモンキチョウ(それでもモンシロはタイワンモンシロチョウ、モンキはダイダイモンキチョウなのだが)くらいしか飛んでいなかった

ルリモンアゲハ
最初に登場するのはルリモンアゲハ
東南アジアでは比較的普通種でインド、インドネシア、中国南部などに棲息する
個人的には台湾のツアーで撮影済みだ
JD国立公園の道路で何頭かのルリモンアゲハが吸水していた  翅を開いていてもブルーの紋が見えないような開き方だとこの蝶はカラスアゲハにしか見えない(黄緑色が強いヤエヤマカラスアゲハに酷似している)
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シロオビアゲハ
シロオビアゲハも東南アジアでは普通に見られるアゲハ
ブータンでは1度しか出会いがなかった
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タイワンモンシロチョウ
モンシロチョウは道路脇に結構飛んでいた
黒紋の大きいタイワンモンシロチョウである
この蝶はけして台湾限定ではなく、中国・朝鮮からインドシナ半島北部などに広く分布する東アジアのモンシロチョウだ
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ダイダイモンキチョウ
この蝶には初めて出会った
翅裏を見ただけでは普通のモンキチョウだが、飛んでいるところは全く違う
名前の通りオレンジ色そのもので日本のモンキチョウとは鮮やかさが異なる
ネパール・ブータン・中国南部・インド北部などヒマラヤ周辺限定の蝶のようだ
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ウラナミシロチョウ
ウラナミシロチョウは東南アジアの普通種だが日本の八重山諸島には定着しており、日本産蝶類にカウントされている
数は多くなかったがブータンでも確認することができた
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ヤマキチョウ系の蝶
どう見てもヤマキチョウの仲間だが少なくともヤマキチョウ、スジボソヤマキチョウ、タイワンヤマキチョウには該当しない
もともと「ブータンの蝶」の図鑑など持っておらず、タイの蝶やマレーシアの蝶の図鑑が頼りなのだが、どちらの蝶の図鑑にもヤマキチョウ系の蝶は記載されていない
基本的には北方系の蝶でタイ、マレーシアには棲息しないのかもしれない
後翅裏面に赤紫の斑紋がないのが特徴的である
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ヒメゴマダラシロチョウ
初めて出会った蝶
タイの蝶の図鑑から「ヒメゴマダラシロチョウ」と確認できた
黒・白・黄色の単純な配色だが美しいデザインだと思う
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ゴマダラシロチョウの仲間
タイの蝶の図鑑などからゴマダラシロチョウの仲間であることは推定可能なのだが、該当種が見つからない
ゴマダラシロチョウ類は黒と白が基本色で一部黄色が入るのが普通であるが、写真の蝶には黄色い部分が全くない
もう一つ胸(胴体)が赤いのが印象的で、手持ちの図鑑ではこのような蝶は見つからなかった
ヒマラヤ周辺の特産種かもしれない
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ヤマトシジミ
道路脇でヤマトシジミに似た蝶を見つけた
カタバミで吸蜜していたのでヤマトシジミだろうとは思ったが、帰宅後確認してみるとやはりヤマトシジミだった
ヤマトという名前だと日本固有の蝶だと無意識に思い込んでしまうが、この蝶は広くアジアに分布するシジミチョウなのだ
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タッパンルリシジミ
タッパンルリシジミは日本の蝶の図鑑にも登場するが土着が確認され撮らず迷蝶扱いである
地面で吸水するルリシジミを念のため撮影したが、後翅裏面の黒斑の形状からタッパンルリシジミと推定した
日本なら珍蝶扱いで大騒ぎになるが、南アジアでは普通種のようだ
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オジロシジミ
最初ウラナミシジミかと思ったがよく見るとオジロシジミだった
リタイア後日本の南西諸島に初めて出かけオジロシジミに出会えた時はうれしかった
その後、南西諸島にはこの蝶によく似たクロマダラソテツシジミがやたら増えて、オジロシジミは滅多に見ることができなくなってしまった
さすがにブータンにはソテツが見合当たらず、クロマダラソテツシジミの大量発生に出会うこともなかった
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ウラナミシジミ
ウラナミシジミはヨーロッパ・アジア・アフリカ・オーストラリアなど世界に広く分布する
基本的には南国の蝶なのでブータンでは南部の標高の低いところで数回見かけただけであった
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種名不詳のシジミチョウ
JIGME DORJI国立公園のキャンプサイトで地上吸水しているこの蝶を多数見かけた
裏面の模様は日本のクロシジミに似ているが大きさはもっと小さく、コツバメくらいのイメージである
表面は紫色で翅縁が黄白色と茶色のダンダラ模様になっている
タイとマレーシアの蝶の図鑑では該当種が見当たらなかった
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ムラサキテングチョウ
テングチョウは日本のテングチョウではなく、ムラサキテングチョウだった
ムラサキテングチョウは日本でも採集記録があるが、定着の実績はない迷蝶である
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アサギマダラの仲間
色彩的には日本のアサギマダラやタイワンアサギマダラにそっくりの蝶だが、デザインは微妙に違っており明らかに別種である
現在未刊となっている図鑑「タイ国の蝶」のVOL.3(タテハチョウ編)が発刊されれば判明する可能性があるが、現在の手持ち資料では種名不詳とするしかない
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ヒメアカタテハ
この蝶はほとんど全世界に分布しコスモポリタンの異名を持つ
海外で出会いがあると Nice to meet you,again! と声をかけたくなる
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リュウキュウミスジ
日本では奄美大島以南に分布するリュウキュウミスジ
この蝶も東洋熱帯に広く分布するグローバルな蝶だ
よく似たコミスジのほうは世界的には朝鮮・中国からヨーロッパと北寄りの分布である
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ウラベニヒョウモン
ツマグロヒョウモンなどのイメージからヒョウモン類は南の蝶だと思い込みがちだが、東南アジアにはヒョウモン蝶の種類が少ない
というか、ウラベニヒョウモンくらいしかいないので、ブータンで出会ったこの蝶も現場でウラベニヒョウモンと断定できた(帰宅後、図鑑を確認したが間違いなかった)
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イワサキタテハモドキ
イワサキタテハモドキは最近石垣島のバンナ公園に定着し「日本の蝶」に昇格した
写真の蝶は東南アジアの普通種で英名Chocolate Soldierという普通種なのだが、個人的な感覚では日本のイワサキタテハモドキとどうも色合いが違う(日本のイワサキタテハモドキは赤みが強いが、Chocolate Soldierのほうはライトグレーのイメージが強い)
イワサキタテハモドキは学名Junonia hedonia、Chocolateのほうは学名Junonia iphitaとなっているので亜種が違うのかもしれない
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ウラナミジャノメ系の蝶
翅が破損しているので断定はできないがウラナミジャノメ系の蝶だ
日本のウラナミジャノメ系は前翅の蛇の目紋は1個なのに写真の蝶には2個蛇の目紋がある
日本の蝶でも八重山のマサキウラナミジャノメには蛇の目紋2個のケースがあるので、近い種類かもしれない
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キミスジに似たタテハチョウ
撮影時にはてっきりキミスジだと思っていた
比較的蝶に詳しい同行者の方から「キミスジですか」と確認され、自信を持って「間違いなくキミスジです」と即答してしまった
ところが、後でチェックすると翅表はキミスジそっくりなのだが、翅裏の模様が異なる
まさにキミスジモドキといったところか
撮影時にわかっていればもう少しきちんとした翅表の写真が撮れたのにと今になって反省している
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種名不詳タテハチョウ
くどいようだがブータンの蝶に関するデータがほとんどない
頼りにするのはマレーシアとタイの蝶の図鑑だが、タイの図鑑はタテハチョウ科が未刊のためタテハ類はお手上げである
こげ茶とオレンジの魅力的なデザインのタテハチョウだった
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Stibochiona Nicea Subucula
マレーシアの蝶図鑑で名前を見つけた(ただし学名しかわからない)
こちらもJigme Dorji国立公園のキャンプサイトで見つけた蝶
写真は黒っぽく写っているが、実物はブルーが強く、大変美しいタテハチョウだった
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シオカラトンボ近似種
海外のトンボの同定は全くのお手上げである
シオカラトンボやシオヤトンボに近い種類で胸の部分が真っ黒なのが特徴的である
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ハラボソトンボ
日本のトンボ図鑑で同じものが見つかった
東南アジアにも生息する種類なので間違いないと思う
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セミ(種名不詳)
南部(低地)の一般道路上で見つけたセミ
そういえばブータンではセミの鳴き声はあまり聞こえなかったように思う(しいて言えば南部の低地でエゾゼミのような鳴き声を聞いたような気がする)
目玉と胸の一部が赤いエキゾチックなセミである
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by mustachio | 2016-04-29 17:55 | Comments(2)
Commented by himeoo27 at 2016-04-30 08:42
チョウを中心としたブータン王国の多彩な昆虫たち
の写真堪能しました。どの個体もエキゾチックで素
敵な種ばかりですね!
セセリチョウの仲間は何か見つかりませんでしたか?
Commented by mustachio at 2016-04-30 16:46
ブログにも書きましたが、蝶に関してはブータンは期待外れでした
トレッキングでもすれば別の結果が得られたかもしれませんが、バードウォッチングは幹線道路沿いばかりでしたので
セセリチョウは全く見かけなかったと思います


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