2016年 07月 24日
7月15日、まだ梅雨明け前で東京は雨だったが、家内と韮崎方面へ出かけた 恒例の年中行事でこの時期に一度は「国蝶」のオオムラサキを見に山梨へ出かけることにしている もう一つの目的が唯一未撮影の蝶クロヒカゲモドキを探索することなのだが、こちらは相変わらずの「空振り三振」に終わった オオムラサキ 昔は東京の郊外でも普通に見られたオオムラサキも今は探しに行かなければ会うのは難しい それでも山梨の韮崎周辺では自然の中に舞うオオムラサキを見ることが出来る(数年前まではうるさいほど群舞していたが、最近は激減してしまった) そして今回、昔クロヒカゲモドキがいたという林道を歩いていると突然オオムラサキのオスが飛んで来てズボンの太もものあたりに止まって汗を吸い始めた 100ミリマクロレンズ付きのカメラを持っていたので早速撮影するが、いくらカメラを近づけても動ずることなくズボンの汗を吸い続けている 人工的なケージの中ならともかく、まったくの自然の中の来客だったので、30分ほど楽しい時を過ごさせていただいた キタテハ 当日撮影した昆虫などをアップしていくが、最初は同じタテハチョウ科のキタテハ 遠くの葉陰にいた交尾個体を450ミリの長い玉で撮影した キタテハは秋には数が多く目立つのだが、夏型(秋型のように翅端の切れ込みが深くないので別種のような感じがする)は見る機会が少ない ウラギンスジヒョウモン この蝶は少年時代(60年前になるが)高尾山周辺にたくさん飛んでいた といっても小学生の子供には縁がなく、中学に入って捕虫網を手に「昆虫採集」に出かけなければ出会えないワングレード上の蝶ではあった そのウラギンスジも最近急速に数が減り、長野県あたりでもあまり見かけなくなってしまったという 今回出会った個体も表面に露出せず草陰にじっと隠れていた コミスジ 韮崎周辺はミスジチョウやオオミスジ、ホシミスジなどミスジ系の蝶が多い場所だが、今回は平凡なコミスジにしか出あわなかった ヒメウラナミジャノメ この蝶も昔からどこにでもいる普通種だが、今回は1度しか出てこなかった 普通種も出てこないのに食草が共通する絶滅危惧Ⅱ類のクロヒカゲモドキが出てくるわけがないと、何となく自分を納得させる結果になってしまった ジャノメチョウ そのクロヒカゲモドキ、活動時間は夕方がメインで昼間は草薮の中や木の幹に止まってじっとしているので、林道わきのススキをたたきながら探すのが一般的である ところが生息していそうな場所で飛び出してくるのは決まってこのジャノメチョウなので、毎回イライラする 大きさも少し大きいし黒っぽく飛び方も特徴があるのですぐに確認はできるが、毎回となるとはずれ籤のジャノメチョウが憎らしくなってくる ジャノメチョウは明るい草原で花に集まっているほうが似合うと思うのだが アゲハ 林道脇のへクソカズラでアゲハが吸蜜していた 夏型のアゲハは図体もでかいが、全体的に黒っぽい印象だ ミズイロオナガシジミ 久しぶりにミズイロオナガシジミを見つけた 個人的な印象ではシーズンになると群舞するイメージなのだが、ここ数年出会うときは単独個体つまり「おひとり様」である 雑木林が消滅しかかっている現状では近い将来絶滅危惧種になってしまうかもしれない ベニシジミ ベニシジミは昔からそれほど減っていないように思う 農地周辺に多い蝶なので耕作面積が減っていくこれからはどうなるのだろうか ダイミョウセセリ タイミングが合ったのだろうかこの日はダイミョウセセリが多かった この蝶は色使いが地味だが、顔に表情があり正面からのアップが面白い ホソバセセリ ホソバセセリは発生の地域・環境・時期がクロヒカゲモドキと重なる ここのところ毎年7月中旬ごろ韮崎周辺に通っているのでホソバセセリの写真がやたら増えてしまった 希少種ではないが昔から数はあまり多くない蝶なのにこの日はあちこちで見かけた 翅裏の黒縁のある白斑がチャームポイントなので翅を閉じた側面の写真が多いが、今回改めて翅表はチャバネセセリ系によく似ていることを認識した ナツアカネ 蝶を探す林道周辺には赤とんぼが多かった 1頭ごとにチェックしたわけではないので何とも言えないが撮った写真をみるかぎりナツアカネが多くアキアカネは見当たらなかった アキアカネはもっと標高の高いところに集結しているのだろうか ノシメトンボ 赤とんぼの中には翅が全面的に透明ではなく翅に斑を持つものがいる ノシメトンボはその一つで翅の先端に赤茶色に近い黒斑がある ミヤマアカネ ミヤマアカネも翅に黒斑がある こちらの班は先端から少し入ったところで帯状になっている マユタテアカネ 胸部側面の黒斑がナツアカネやアキアカネとは異なる赤とんぼがいた 帰宅後調べてみるとマユタテアカネのようだ 顔の正面の白い部分に眉のような黒点が二つある 現場では意識していなかったので正面からの写真は撮りそこなってしまった オオシオカラトンボ 薄暗い林道の水たまりで麦わらトンボのような腹部の黄色いトンボが産卵していた 翅のつけ根に黒斑が確認できるのでシオカラトンボではなくオオシオカラトンボのメスだ 別の場所ではオスも撮影できた(写真ではわかりにくいがオスの腹部はシオカラトンボ同様、青白色だ) 最近では普通のシオカラトンボもほとんど見かけなくなってしまった ヤブヤンマ 別の水たまりでは大型のヤンマが産卵していた こちらは飛翔産卵ではなく、止まって地面に産み付けているように見える 腹部の後半が黄色いのでヤブヤンマと確認できた (おそらく初対面のヤンマだと思う) コクワガタ クヌギの幹にはコクワガタがいた クワガタの中では割とポピュラーな種類で子供でも結構捕まえることが出来る入門編だ カナブン 子供の頃東京世田谷の下北沢に住んでいたが近所のお寺の山には普通にカナブンがいた(カブトムシやクワガタムシを撮るためには多少遠征が必要だったが) 最近ではカナブンを見る機会がほとんどなくオオムラサキと同程度の頻度でしか出会うことがない ちなみにカナブンの仲間はカナブン、アオカナブンとクロカナブンがいる 他に八重山諸島のチャイロカナブンというのがいるのだが、子供の頃は日本ではなかったので知る由もなかった 2枚目の写真はアオカナブンだと思うが、カナブンに中に同じような色の個体がいて、腹部の構造を確認しないと正確な同定が出来ない シラホシハナムグリ 同じコガネムシ科の甲虫でも樹液に集まらず花に集まる仲間もいる ハナムグリの仲間がそれで種類はかなり多い 写真はシラホシハナムグリと推定しているが、よく似た仲間にシロテンハナムグリがいて判定が難しい ヒラタシデムシ 他にも甲虫を見つけた 地面をのそのそ歩いていたのでシデムシの仲間と見当がついたが現場では名前が判らなかった 後で図鑑をチェックするとヒラタシデムシ、カブトムシやカミキリムシのようになかなか締まった体型の甲虫である イナゴ 直翅目の昆虫は図鑑がないので正確なコメントではないがイナゴだと思う イナゴは田圃以外の場所でも見られるのでTPPの影響で生息数が減少することは考えにくい ウスバカゲロウ 薄馬鹿下郎ではなく薄羽蜻蛉 林道をふらふら飛んでいる事が多いが、ご存じ蟻地獄の成虫である オオスズメバチ クヌギや樫の樹液にはオオスズメバチも来ていた さすがにアップを撮影する気にはならず遠くから望遠レンズでの撮影となった キキョウ 当日は昆虫と植物主体の撮影となった ここからは野草の写真である トップバッターはキキョウ、昨年も一昨年もクロヒカゲモドキを探しに行ってキキョウを撮影している ヒヨドリバナ 見た瞬間はオミナエシの仲間のオトコエシかと思ったが、よく見るとヒヨドリバナだった どちらも秋の花で山ではもう秋が始まっている イタチササゲ 花の色が淡黄色からオレンジ色に変色していくマメ科の植物 初めて出会う花ではないのだが現場では名前が思い出せなかった イヌコウジュ 植物図鑑でこの花を見つけるのに大変な苦労をした というか、まだ正確な名前がわからないので「種名不詳」とするべきかもしれない ただ花の形や咲き方がイヌコウジュにぴったりで(花の色は普通ピンク色なのだが)シロバナイヌコウジュもあるというコメントもWEBで見つけたので一応イヌコウジュ(シソ科)と判断した コマツナギ ちょっとハギに似た感じのマメ科の植物 ミヤマシジミの食草なのでしっかり覚えている コマツナギの近似種にタヌキコマツナギというのがあって、何年か前西表島でこのタヌキコマツナギを目安に国内最小種のタイワンヒメシジミというシジミチョウを探したことを思い出した オカトラノオ 純白の花を密集した形で穂状につけるのでその形を虎の尾に見立てたというがあまりピンとこない この時期数多く見かけるのだが、この日は形の良い穂状のものが見つからなかった (サクラソウ科の植物で個々の花もアップに耐えられる程度に美しい) キンミズヒキ キンミズヒキも咲き始めていた(7月には咲き始めるのだがどちらかというと秋の花だ) この花は見た目と名前が一致するわかりやすい植物だ(ネーミングが優れているということである) ウツボグサ 6月から何回かブログに登場しているので説明は省略する ただこの写真がどこかのご当地キャラとして着ぐるみやマスクに使えそうなイメージなので掲載した 枯れた花が抜け落ちた跡なのだろうか二つの黒い目が印象的だった クサノオウ 15年ほど前植物写真を撮り始めたころは「草の王」だと思い込んでいた 葉や茎を折ると黄色い汁が出るので「草の黄」が正しいらしい いずれにしても春の花でキキョウなどと同じ時期に咲いているのはしっくりこない ヘクソカズラ 屁糞蔓というのはすごい名前だと思う 下ネタ好きの小生など一度覚えたら認知症になっても忘れないような気がする 結構昆虫を集める能力があるようで、前出のアゲハはヘクソカズラで吸蜜していた ママコノシリヌグイ 植物の名前といえばこちらもすごい とにかく無数に生えた下向きの棘で継子の尻を拭うというのだからDVのイメージそのものだ 花はピンク色で可愛く名前とのミスマッチが面白い イタドリ あまり美しくないので滅多に写真は撮らないが普通に見られる植物である 最近まで知らなかったがイタドリの若い状態がスカンポでこちらは食用になる 「土手のスカンポジャワ更紗~」という童謡が歌える人はかなりの年配者だろう この歌の最後の歌詞は「夏が来た来たドレミファソ」と記憶している ヒルガオ 直径が5cmほどの大きな花だったのでヒルガオで良いと思う 帰宅後図鑑を調べたところヒルガオのほかにコヒルガオがあり花柄の部分が異なる(コヒルガオは花柄が縮れる)そうだ 写真撮影のときは花柄まで抑えておく必要があるようだ ヨウシュヤマゴボウ 昔から馴染のある植物で名前もすぐわかる ただ花は魅力的ではなく実のほうが目立つ 今回の写真も奥の方に花が写っているがピントは完全に実のほうに行ってしまっている オオバギボウシ この花も7月をイメージさせる 名前の由来は蕾(花穂の先端部分)が欄干の頭に付く擬宝珠に似ているからといわれるが、このあたりは納得できていない ヤブカンゾウ ニッコウキスゲの里山版がこのヤブカンゾウではないだろうか 八重咲ではないノカンゾウのほうがもっとニッコウキスゲに似ているが最近はヤブカンゾウだけが目につきノカンゾウを目にしなくなった アップした写真の数は結構多くなってしまった クロヒカゲモドキとの出会いはなかったが、ネイチャーフォトグラファーとしては1日を有効に過ごしたといって良いと思う
by mustachio
| 2016-07-24 12:19
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