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2011年 04月 30日

ボルネオの自然(3)

ボルネオの蝶(その1 日本との共通種)

毎回お断りしているが、海外の自然探訪は蝶を目的としていない
たいてい、家内のお伴でバードウォッチングツアーに参加するのでスケジュールも行く先もすべて人任せで自分では選定できない
ただ鳥よりも蝶に対する興味のほうが強いので、行った場所に蝶が出てくれば鳥よりは優先でカメラを向ける
今回のボルネオツアーは後半がボートサファリでロッジの周りは地上を歩けないような環境だったため、蝶の写真を撮る機会はほとんどなかった
それでも蝶の飛ぶ姿を見るチャンスは非常に多く、結構、写真の数も多くなった

東南アジアのツアーの楽しみの一つに旅先で日本との共通種を見ることがある(アフリカや南米ではほとんど共通種がいない)
共通種といってもほとんどが日本の南西諸島との共通種で、東南アジアの普通種が日本にも棲息していると考えるほうが合理的だ
(日本のリュウキュウムラサキやヤエヤマムラサキが海外にもいると考えるのは天動説的な発想で、頭を地動説に切り替える必要がある)

コモンタイマイ(Tailed Jay)
コモンタイマイは与那国島で発生が確認されているようだが基本的には迷蝶 ただ日本の図鑑には載っている
東南アジアには広く分布しており、色彩が美しいので標本がお土産として売られたりしている
今回は駐車場で吸水するところに遭遇したが、パプアニューギニアで出会ったミイロタイマイと色彩的に非常によく似ていると感じた
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シロオビアゲハ(Common Mormon)
この蝶もアジアでは普通種 日本でも南西諸島にはたくさんいる
一部のメスが白帯を持たず、ベニモンアゲハのような紋を持つところも全く同じのようだ
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ナガサキアゲハ(Great Mormon)
ナガサキアゲハは九州から沖縄にかけて普通種で、分布域北上の傾向があり、千葉県などにも進出してきている(不思議なことに八重山諸島にはいない)
東南アジア全域でも普通種で台湾にも多い
「長崎」というネーミングにはあまりスケールの大きさが感じられないが、英名のモルモンはただ「黒っぽい」という意味なのだろうか(モルモン教については全く知識がない)
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キチョウ(Common Grass Yellow)
昔から日本で「キチョウ」と呼ばれていたキチョウは今は「キタキチョウ」という名前になってしまった(こちらは海外では中国北部や朝鮮半島に分布する)
ボルネオで出会ったキチョウは主として南西諸島に棲息する現在の「キチョウ」のほうである
東南アジアでは数が多いと思っていたが、今回はほとんど見かけなかった
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クロテンシロチョウ(Psyche)
クロテンシロチョウとの初対面は2年前の与那国島 その初対面の感動は今でも記憶に新しい
その後は石垣島でも何回か出会っているので、インパクトはなくなったが、ボルネオで再会した時はうれしかった
この蝶も日本では珍しいが、東南アジアでは普通種のようだ
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アマミウラナミシジミ(Rounded 6-line Blue)
英語の名前にあるように6本の白線があるのでアマミウラナミシジミと判断した
この蝶も東洋熱帯に広く分布するので間違いないと思う
日本では奄美諸島だけでなく南の島に広く分布するが、九州本土より北には定着していないようだ
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クロマダラソテツシジミ
日本でもひところは珍蝶の扱いだったが今では勢力範囲を拡大し普通種になってしまった
3月に行ったサイパンでも、今回のボルネオでも多数のクマソ(クロマダラソテツシジミ)に遭遇した
割と端正な姿をしておりウラナミシジミ系の蝶に近いので、必ずレンズを向けることになるが、ファインダーを覗いてがっかりする
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タテハモドキ(Peacock Pansy)
南国に多いタテハモドキ系の蝶は英語名でPansyという
日本には棲息しないので日本名がわからないがLemon PansyとかGrey Pansyとか似たような種が多い
日本にも割と多いタテハモドキは英名Peacock Pansyで、色のイメージは全く違うが、クジャクと同じジャノメ模様に由来するものだと思う
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イワサキタテハモドキ
裏面の模様から判断してイワサキタテハモドキと推定した
日本では全くの珍蝶でもちろん出会ったことはないが、東南アジアでは普通種のようなので間違いないと思う
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リュウキュウムラサキ(Great Egg-fly)
英名のEgg-flyは翅表の白い大きな斑紋から来たものだろうか
南国ではどこにでもいる蝶でサイパンでもよく見かける
ボルネオでは写真は撮れなかったが近似種のヤエヤマムラサキもよく見かけた
日本名のリュウキュウやヤエヤマはいかにも外国を知らないした人が命名したようで、ネーミングとしては適切でないように思う
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タイワンキマダラ(Rustic)
日本におけるタイワンキマダラには思い入れがある
最初に西表島で対面した時、焦って写真を撮りそこなったからだ
もちろん数年後にリベンジを果たし、写真も十分にそろったが、今でも印象の強い蝶だ
そのタイワンキマダラにボルネオでまた再会を果たした
この蝶はけして台湾の蝶ではなく、東南アジアの蝶だと思う
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リュキュウミスジ(Common Sailor)
外見は関東地方でも超普通種のコミスジと変わらない
日本国内では奄美以南はリュウキュウミスジ、屋久島以北はコミスジと棲み分けがなされており、国際レベルでも中国(北部)朝鮮はコミスジ、東南アジアはリュウキュウミスジと分かれる
東南アジアでは名前にCommonが付くように超普通種だ
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ヒメジャノメ(Common Bush Brown)
コミスジと同じようにヒメジャノメも日本国内では棲み分けが成立している
屋久島以北がヒメジャノメで奄美以南がリュウキュウヒメジャノメということになる
それでは、ボルネオなど東南アジアに棲息するのはリュウキュウヒメジャノメのほうだと推測したくなるが、そうは問屋が卸さない
実はリュウキュウヒメジャノメは日本の南西諸島の固有種で、ボルネオにいるのは北の普通種に当たるヒメジャノメのほうだという
こういうところが生物の分布の面白さだ
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ヒメウラナミジャノメ
東京郊外にも普通にいるヒメウラナミジャノメと思ったが、もしかすると種のレベルで別種かもしれない
この系列のジャノメ蝶は翅裏に細かい波模様があり、何個かの蛇の目を持つのが共通の特徴
英名でもThree RingとかFour Ringとか呼ばれる
日本では全国区のヒメウラナミジャノメが5リング、西日本固有のウラナミジャノメや沖縄、南西諸島の固有種はすべて3リングである
最初この蝶は5リングでヒメウラナミジャノメと早合点したが、写真をよく見ると6リングのようだ
厳密な意味で日本の蝶と共通種でないかもしれない
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ウスイロコノマチョウ(Common Evening Brown)
英名にCommon が付くだけあって分布域は広くアフリカから東洋熱帯にかけて広く分布する
日本でも基本的には南西諸島の蝶だが関東より北でも採集記録がある
ただ葉蔭にじっとしてあまり動かない蝶なので、出会いは難しく、今回も含め写真は良いものがない
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オオゴマダラ(Tree Nymph)
森の妖精オオゴマダラはボルネオでもよく見かけた
ただ、どこにもとまってくれないので写真は諦めていたが、たまたま上空をゆっくり横切った個体がいて一応カメラに収めることができた
日本のオオゴマダラと微妙に模様が異なるような気もするが同一種だと思う
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リュウキュウアサギマダラ(Blue Glassy Tiger)
熱帯地方にはこの蝶とよく似た種類が多いが、翅の模様を検討してリュウキュウアサギマダラと判定した
スリランカにもいて分布域は広い
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ネッタイアカセセリ(Palm Dart)
マレーシアの蝶については一応まともな図鑑を持っているので、同定に苦労はないと思うが、セセリは難しい
日本の図鑑のようにすべての蝶について表と裏の写真があるわけではないので苦労するが、写真のセセリは日本で撮ったネッタイアカセセリにそっくりなので間違いはないと思う
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この後、ボルネオの自然(4)(5)と続きますが、ゴールデンウィークはフィールドに出ることが多いのでパソコン作業はしばらくお休みします

by mustachio | 2011-04-30 16:41 | Comments(0)
2011年 04月 29日

ボルネオの自然(2)

ボルネオの動物(哺乳類・爬虫類)
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ボルネオはそれほど動物の種類が多いところではないらしい
今回の旅行で写真を撮った動物は猿がメインである(リスも多かったがあまりよい写真がなかった)
彼らの生活場所は熱帯雨林の中で樹上で暮らしているため人間が近づくのは難しい
出会うチャンスがあるのはボートクルーズ、つまり川に浮かぶボートから望遠レンズで樹上の猿を捕えるぐらいしか接触の方法がない

ボルネオに1000頭ほど棲息するといわれる「ボルネオゾウ」(小型のアジアゾウ)には残念ながら会えなかった

オランウータン
オランウータンはボルネオの自然保護の象徴、人間の手による急速な開発が彼らの生活域を浸食している
今回のツアーで野生のオランウータンを見ることができるかどうかが最大のポイントであったが、最終日のキナバタンガン川のボートクルーズで密林の中に彼ら(というより1頭なので彼または彼女)を撮影することができた
さらにこの後、ゴマントン洞窟への木道を歩行中に割と近い樹上に野生のオランウータンを発見、400ミリの望遠レンズの距離ではあったがポートレートを撮ることができた
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テングザル
動物園では馴染みのある猿
正面からの写真ではわかりにくいが、横顔を見ればすぐに名前がわかる
金茶色の毛並みが美しい
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カニクイザル
猿の中では割と頻繁に見かけた種類 普通種なのだろう(群れで生活しているらしい)
尻尾はテングザル同様長いが、顔はニホンザル似で鼻は高くない
望遠レンズ越しの観察なので詳細は分からないが、人間と同じような感情表現をしている
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ブタオザル
名は体を表す、というよりは人間が勝手に名前を付けただけなのだが、まさに豚の尻尾を持った猿だ
遠くの樹上にいる猿はロッジの食堂から撮影したものだが、シルエットだけではっきり種類が見分けられる
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オオトカゲ
ボルネオオオトカゲが樹上でのんびり昼寝をしていた
薄眼を開けてこちらを見るも、特に警戒する様子もない  「泰然自若」を絵に描いたようだ
もう一枚の写真は小型のトカゲで種名不詳
可愛い目が印象的だ
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by mustachio | 2011-04-29 12:50 | Comments(0)
2011年 04月 28日

ボルネオの自然(1)

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4月20日から5日(実質4日)ほどボルネオへ行ってきました
例によってバードウォッチングツアーを利用しましたが、個人的な目的は鳥よりも「森の住人」(野生のオランウータン)に出会うことでした
幸い、オランウータンやテングザルを堪能することができましたし、サイチョウなども2メートルほどの距離で写真をとることができました

訪問した場所は熱帯雨林のあるセピログ(1泊)、ゴマントンとキナバタンガン川流域のスカウ(2泊)(いずれもマレーシア・サバ州)です
撮影した写真は逐次アップしていきますが、初回は野生植物の写真になります
鳥や蝶の写真は数も多く同定して名前を付けていこうと思っていますので整理に少し時間がかかりますが、植物(花)のほうは最初から同定をあきらめていますので映像だけの掲載とさせていただきます
ちなみにタイトル写真にあるキナバル山は「蘭の宝庫」として有名ですが、今回は登山していないので熱帯雨林で見た花とロッジに移植された野草の写真が中心になります

もうひとつ、現地で気になったことがあります.....それは森林の破壊です
ボルネオの森林は急速に開発され、人口植林されたアブラヤシのプランテーションに変貌しつつあります
北東部中心都市サンダカンの周辺は行けども行けどもヤシの林が続いています
見た目には完璧な緑化地帯ですがこれは完全な自然破壊.....「緑化」と「自然保護」、きちんと峻別しなければならないと思います

ボルネオの花(野生種)
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by mustachio | 2011-04-28 22:36 | Comments(0)
2011年 04月 15日

2011/4/14 国上山

2011年のギフチョウ
蝶愛好家の春は普通、ギフチョウから始まる
もちろんギフチョウより早く発生する蝶はたくさんいて、ミヤマセセリ、コツバメなど典型的な早春の蝶だが、いわゆる普通種でキャリアを積んでくるとインパクトに欠ける
ギフチョウ自体は分布域が広くそれほど珍しい蝶ではなかったが、関東ではほとんど見られなくなって希少種の仲間入りをしたように見える
昔から昆虫少年のあこがれの蝶で、赤やオレンジの斑紋を持つタイガースカラーは何回出会っても胸をときめかせる
そんな訳でリタイア後は4月15日前後になると家内と二人、新潟まで足を運んでギフチョウを見ることが定例行事となっている
昨年は春の気温が低かったせいか、4月16日の新潟遠征は空振りに終わっていた(発生数も少なかったらしい)
一般的に蝶の発生時期は植物の開花時期と同様で毎年2週間程度のずれこみは珍しいことではないが、気温や日照時間の影響によるため、双方が同期する傾向はある
ギフチョウの発生はカタクリの開花時期や桜の開花時期とリンクするようで、経験によれば新潟ではギフチョウの発生と桜の見ごろが一致すると認識している

さて今年の新潟遠征だが、途中の関越道は関越トンネルを過ぎるとどこまで行っても雪景色、高速を降りた信濃川分水土手の桜もまったく開花していない
また今年もフライイングで敗退かとあきらめムードでカタクリ満開のフィールドを歩いてみると、汗ばむような春の陽気につられて何頭がが飛び出しはじめ、そのうちたくさんのギフチョウが山道を往復するようになった
発生初期のせいか新鮮で元気がよい個体が多く静止しないのが欠点で、あまりよい写真は撮れなかったが、カタクリをはじめとする早春の花たちとギフチョウで、春の一日を十分満喫することができた
(連日の気温上昇など、ごく短期間の自然条件の影響に対しては植物より昆虫のほうがはるかに敏感ということらしい)
昨年と違って特に天候不順もなく、今年の蝶は順調にスタートしたようだ

今年のギフチョウ
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最後の2枚は100ミリマクロの連写で撮影、かなりトリミングもしている
非常に動きが速いので狙って撮れる画像ではなく「下手な鉄砲」がなんとか当たったものだ

カタクリ
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ショウジョウバカマ
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オオミスミソウ
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アズマイチゲ
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キクザキイチゲ
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スミレサイシン
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マキノスミレ
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ナガハシスミレ
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エンレイソウ
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ミヤマカタバミ
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キクバオウレン
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タムシバ
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by mustachio | 2011-04-15 17:04 | Comments(2)