人気ブログランキング | 話題のタグを見る

還暦からのネイチャーフォト

mustachio.exblog.jp
ブログトップ
2014年 07月 21日

信州峠の蝶

信州峠の蝶_b0144049_11385491.jpg


信州峠は山梨県北杜市と長野県川上村の境界にある
中部横断道路はごく一部しかできておらず、既存の高速道からは距離があるので交通量はいたって少ない
自然に恵まれた地域で10年前に蝶の写真を撮り出した頃は何回か通ったが、最近はご無沙汰の場所であった
前回敗退のクロヒカゲモドキがあきらめられず再挑戦のため、自宅から群馬の山荘に向かうルートをわざわざ中央道韮崎経由とした
韮崎のほうは結果が得られなかったが、気を取り直して信州峠近辺で「カメラ散策」ということになった

ウラジャノメ
クロヒカゲモドキと同じようにウラジャノメもジャノメチョウ科(最近ではタテハチョウ科ジャノメチョウ亜科)の地味な蝶である
棲息地は中部山岳地帯と北海道で絶滅危惧指定ではないが、数は減りつつある
梢の先に1頭だけ静かにとまっていることが多く、なかなか見つけにくい蝶なのだが、今回は獣糞で吸汁しているところを見つけた
信州峠の蝶_b0144049_1222935.jpg
信州峠の蝶_b0144049_1224276.jpg
信州峠の蝶_b0144049_1224934.jpg
信州峠の蝶_b0144049_123122.jpg


クロヒカゲ
「モドキ」というのは「良く似ている偽物」という意味でネガティブなイメージがあるが、生物の世界では「モドキ」のほうが希少価値があることが多い
(ヒョウモンモドキ、キマダラモドキなどすべて希少種の蝶だ)
クロヒカゲもクロヒカゲモドキもジャノメチョウの仲間で食草も似たような種類なのにクロヒカゲのほうはどこにでもいる普通の蝶だ
信州峠の蝶_b0144049_12163261.jpg
信州峠の蝶_b0144049_12163874.jpg


ヒメウラナミジャノメ
ついでにジャノメチョウ科普通種のヒメウラナミジャノメ  東京近郊でも見ることができる
この蝶にも良く似た種類の蝶がいて「ウラナミジャノメ」という
相違点はヒメウラナミのほうが後翅裏面の眼状紋が5個なのにウラナミは3個
もともとウラナミジャノメは西日本にしか棲息しないのだが、こちらも棲息地が激減していて絶滅危惧指定になってしまった
信州峠の蝶_b0144049_12271713.jpg
信州峠の蝶_b0144049_1227265.jpg


キバネセセリ
セセリチョウ科の蝶は蛾に似ているので女性に不人気なのだが、このキバネセセリだけは見た目が愛くるしく
「可愛い」とわれることが多い
7月の蝶でリョウブやイケマなど白い木の花で吸蜜することが多いが、獣糞にも集まる
今回はウラジャノメとのツーショットも撮影することができた
信州峠の蝶_b0144049_1238556.jpg
信州峠の蝶_b0144049_12381738.jpg


ヒメキマダラセセリ
セセリチョウの仲間は似たような蝶が多く、野外での識別は結構難しい
ヒメキマダラセセリ、コキマダラセセリ、スジグロチャバネセセリ、ヘリグロチャバネセセリといったところは、新鮮な個体ならまだしも少し痛んで色が薄くなった個体ではお手上げである
それでも表面と裏面の両方が撮れればなんとかなるもので、今回は飛翔シーン(ピンボケ被写体ブレあり)もあってヒメキマダラセセリと判断した
信州峠の蝶_b0144049_12531527.jpg
信州峠の蝶_b0144049_12523752.jpg
信州峠の蝶_b0144049_12532952.jpg


ゴイシシジミ
ゴイシシジミはもともと山の蝶ではない
昔は平地にも多く東京近郊でも普通に見られた
この蝶の特徴は幼虫が肉食系であること、竹や笹につくアブラムシ(アリマキ)を捕食する
都会では笹藪が見られなくなったが、山地には笹類がかなり残っていていつのまにか山の蝶になってしまった
成虫はモノトーンの清楚なイメージで肉食系には見えない
信州峠の蝶_b0144049_14221679.jpg


スジボソヤマキチョウ
こちらはもともと「山の蝶」
といってもけして珍蝶ではなく、60年前中学生の頃の標本箱の中では燦然と輝いていた
この蝶にもヤマキチョウという近似種がいて、そのヤマキチョウのほうは絶滅危惧指定になってしまったが、こちらのスジボソヤマキのほうはまだ数が多く、数年前までは信州峠周辺でも群舞が見られた
信州峠の蝶_b0144049_14295682.jpg
信州峠の蝶_b0144049_14295132.jpg
信州峠の蝶_b0144049_14301586.jpg


ギンボシヒョウモン
最近では都心部でもツマグロヒョウモンが見られるので「ヒョウモン類は山の蝶」という感覚がなくなってしまったが、子供の頃は山の蝶といえばヒョウモンだった
このギンボシヒョウモンやウラギンヒョウモンなどはまだ数が減ったという印象がないが、ウラギンスジヒョウモンやオオウラギンスジヒョウモンなどはほとんど見かけなくなってしまった
(そのうちヒョウモンモドキのよう中部地方から姿を消してしまうかもしれない)
信州峠の蝶_b0144049_14433469.jpg


ミドリヒョウモン
ヒョウモン類の食草は基本的にスミレである
このミドリヒョウモンも他のヒョウモンと同じようにタチツボスミレなどを食草とするのだが、どういうわけかこのミドリヒョウモンだけが勢力を拡大し続けているような気がする
道路脇の廃屋や駐車場などで群れをなして飛び回っていることが多い
信州峠の蝶_b0144049_14511545.jpg
信州峠の蝶_b0144049_14515270.jpg

信州峠の蝶_b0144049_14533815.jpg

信州峠の蝶_b0144049_14515243.jpg
信州峠の蝶_b0144049_14523077.jpg


ヒトツメカギバ
「一つ目鍵羽」 もちろん蝶ではなく蛾である
たまたま林道で目についたのでシャッターを押した
蛾の種類数は蝶の種類数より一ケタ多いのでとても手が回らないのだが、「日本の蝶」をクリアできたら「日本の蛾」でも始めることになるかもしれない
信州峠の蝶_b0144049_1535043.jpg


蛇足
信州峠に着く前、韮崎周辺のある林道でクロヒカゲモドキを探した
自然が残ったとても良い林道だったのだが不思議なことに蝶が一頭も出てこなかった
見つけたのがこの蛇、ヤマカガシだろうと思うが手元に蛇の図鑑がないので断言はできない
悔し紛れの「蛇足」である
信州峠の蝶_b0144049_1595096.jpg
信州峠の蝶_b0144049_15102086.jpg


by mustachio | 2014-07-21 12:03 | Comments(0)


<< 7月の池の平湿原      またも「幻」クロヒカゲモドキ >>