還暦からのネイチャーフォト

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2016年 01月 31日

タイ北部の自然04

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ここからは「タイの蝶」シリーズになる
すでに何回もコメントしているのだが、日本で海外の蝶を見に行くツアーというのは聞いたことがない
採集目的のほうはマレーシア・ランカウイなどに出向くツアーあるようだが、個人的に採集に関してはネガティブなので詳細は知らない
そこでバードウォッチングツアーに便乗して海外の蝶を見に行くというのが自分のスタンスである
今までに東南アジア(台湾、マレーシア、ボルネオ、バリ、スリランカ、インドなど)へ出かけそれなりに成果を上げているのだが、今回のタイ旅行でも結果的に数多くの蝶を観察し写真を撮影することができた
バードウォッチングツアー参加の皆様には変わり者がいてご迷惑をおかけしたと思うが、平にお許しをお願いしたい

海外での蝶の観察での問題点は「図鑑」である
東南アジアでも国によっては「蝶の図鑑」があるのだが基本的には英語か現地語の図鑑だ
ところがタイの蝶に関しては立派な日本語の図鑑が刊行されている(木曜社:タイ国の蝶)
従ってタイの蝶に関しては同定が容易ということになるのだが、実はこの図鑑3刊編成でまだ1、2刊しか発行されていない
アゲハ、シロチョウ、シジミチョウ、セセリチョウまではよいのだが、タテハチョウの仲間が未刊でこれが(現時点では)唯一の欠点なのだ
この図鑑の早期完結を願ってやまない

オオベニモンアゲハ Common Windmill
トップは今回初対面の蝶オオベニモンアゲハ
日本(南西諸島)にもベニモンアゲハが生息するが、こちらのほうがでかい
頭から尻尾の先まで胴体部分が真紅であることは日本のベニモンアゲハと共通だが、決定的な違いが一つあった
それは尾状突起  ベニモンアゲハの尾状突起は真っ黒なのだが、オオベニモンアゲハのほうは何と尾状突起の先端に真紅の斑紋があるのだ
そこが衝撃的で撮った写真は尾状突起にピントを合わせたものがほとんどになってしまった
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ナガサキアゲハ Great Mormon
日本のナガサキアゲハと同一種  ただタイで見たナガサキアゲハは有尾型だった
ナガサキアゲハは無尾型(尾状突起の無いもの)が普通だが、日本でも有尾型が発生する(♀限定)
自分でも長崎の平戸で有尾型を見つけ撮影も成功している
現地では別の蝶かとも思ったが、帰国してから図鑑を確認すると間違いなくナガサキアゲハであった
前翅の付け根の部分が赤いアゲハチョウはナガサキアゲハだけのようだ
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ミズアオマダラタイマイ Great Zebra
こちらも初対面のアゲハチョウ  後翅端のオレンジ紋がチャームポイントだ
というか、撮影した時点ではアゲハチョウの仲間であることすらわからず、マダラチョウかタテハチョウだと思い込んでいた
図鑑を確認してみるとタイマイ、つまりアオスジアゲハの仲間であることが判明した
確かに地面からの吸水行動はアオスジアゲハの特徴でもある
一見アカボシゴマダラのような雰囲気の蝶がアゲハチョウだったとは、まさにビックリポンである
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アカネシロチョウ Redbase Jezabel
今回のタイツアーではアゲハチョウ科の蝶との出会いが少なかったので、ここからシロチョウ科になる
日本国内ではシロチョウ科の蝶の色といえば白か黄色に限定されていて派手な色使いはツマキチョウ、ツマベニチョウのオレンジ色しか思い浮かばないが、東南アジアには真紅色を使うシロチョウがいる
このアカネシロチョウもその一つだが、今回初対面というわけではなく、10年ほど前に一度香港で出会っていて今回は久しぶりの再会だった
赤、白、黄色、黒4色の蝶と桜の花の組み合わせは「異国情緒」を強く感じさせる
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ウラキカザリシロチョウ Redspot Jezabel
こちらも後翅裏面上端に赤色を配したシロチョウである
前出のアカネシロチョウは翅の表面、裏面が同じようなデザインなのだが、4枚目の写真のようにこの蝶は表面全体が白くまさにシロチョウ科の蝶である(翅表が白いのは♂だけで♀の翅表はかなり黒っぽい)
名前のように翅裏は黄色が目立つデザインになっている
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クロテンシロチョウ Psyche
東南アジアの常連
フィリピンでもインドでもどこでも見かけるシロチョウで、最近では日本の南西諸島にも定着してしまった
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タイワンモンシロチョウ Indian Cabbage White
タイにもモンシロチョウはいるらしいのだが基本的には野菜について入国した移入種のようだ
写真の蝶もモンシロではなくタイワンモンシロのようである
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ツマグロキチョウ Spotless Grass Yellow
日本国内のツマグロキチョウと同一種
英名が示すようにツマグロキチョウの裏面には他のキチョウにある茶色の斑点が見られない
後翅裏面の一本の斜線がツマグロキチョウであることを主張している
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キチョウ Common Grass Yellow
日本国内でもキチョウ類の識別は難しい
東南アジアには日本に棲むキチョウ類のほかにホシボシキチョウやレモンキチョウなど似たような蝶が多いので頭が痛くなる(乾季型、雨季型、中間型など同一種でも変異が多い)
とりあえず今回ははっきりしないものは普通のキチョウ(日本ではミナミキチョウ)ということにしておく
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タイワンキチョウ Three Spot Grass Yellow
英名のスリースポットとは前翅裏面中室の斑紋の数が3個という意味
普通のキチョウは2個で、これが識別ポイントになる
斑紋が3個見えるものについては一応タイワンキチョウということにさせていただく
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メスシロキチョウ Yelow Orange Tip
この蝶も以前スリランカで出会っていて、今回タイでの再会となった
写真の蝶はメスで地味な色彩だが、オスは英名の通り翅の先がオレンジでかわいい
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タイワンシロチョウ Chocolate Albatross
アルバトロスはアホウドリのことだが、蝶ではトガリシロチョウを意味する  日本国内ではタイワンシロチョウ、カワカミシロチョウ、ナミエシロチョウが南西諸島で見られるがいずれも前翅の先端が尖っていて精悍なイメージである
タイワンシロチョウは後翅裏面の黄色がチャームポイントだ
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スジグロトガリシロチョウ
昔からタイワンシロチョウの亜種と考えられていたようだが最近では別種にスプリットされている
そのせいかどうか手持ちの図鑑(タイ国の蝶)には英名が載っていない
見た目はタイワンシロチョウとまったく異なるので別種扱いが当然のような感じがする
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ヤマトシジミ Pale Grass Blue
名前がヤマトシジミだからといって日本の固有種ではない ヤマトシジミはアジアに広く分布する普通種だ
おまけに東南アジアには日本では絶滅危惧種になっているハマヤマトシジミが普通にいて海岸付近だけではなく山岳地でも見られる
両者は非常によく似ているので東南アジアでヤマトシジミを見かけると念のため撮影することになる
今回もいろいろ撮影したがどうもすべてヤマトシジミだったようだ
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ヒメシルビアシジミ Lesser Grass Blue
こちらもヤマトシジミによく似た蝶なのだが、後翅裏面の中央斑列第6室紋が内側にずれるという特徴があり写真撮影時に識別が可能である
この蝶は日本の南西諸島でも普通に見られる(日本本土のシルビアシジミとは10年くらい前にスプリットされた)
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ルリシジミ Hill Hedge Blue
このルリシジミも日本と共通の普通種
ところが東南アジアにはよく似たホリシャルリシジミとかタッパンルリシジミがいて、これらの蝶も日本で迷蝶としての記録があるためルリシジミを見つけるとまず写真を撮ることになる
結果的に普通種のルリシジミの写真が多数残ることになるのだが
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ホリシャルリシジミ Plain Hedge Blue
過去、与那国島に何回も採集記録があり、「日本の蝶」にこだわる採集者や撮影者には垂涎の的のようだがアジアでは普通の蝶である
後翅裏面中央部上端の大きな黒点が識別のポイント
個人的には今回が初対面だと思う
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ドウケシジミ Common Pierrot
以前スリランカで出会ったことがある蝶
タイではごく普通種のようで標高の低いところで何回か見かけた
日本のゴイシシジミにイメージが見ているがゴイシシジミは表面が真っ黒である
このドウケシジミは表面にも裏面と同じような模様があるのだが、いつも翅を閉じていて翅表を確認することができなかった
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オジロシジミ Gram Blue
日本でも南西諸島に行けば見られる蝶
といっても最近ではほとんど出会いがなくなってしまった
この蝶によく似たクロマダラソテツシジミ(略してクマソ)が急速に増えてしまい、オジロシジミを見かけてもただのクマソかと見逃してしまうことがあるのかもしれない
そういえば今回タイでは全くクマソを見かけなかった  食草であるソテツの存在もあまり記憶に残っていない
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アオモンキララシジミ Blue Gem
英名の「青い宝石」のように♂の翅表は美しいブルーのようだ
残念ながら写真の蝶は♀でしかも翅表の写真は撮れていない
それでも翅裏の複雑な模様から珍しい美しい蝶であろうとの推察はできる
初めての種類との出会いは海外ツアーの最大の楽しみである
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スソビキフタオルリシジミ Fluffy Tit
「タイの蝶前編」の最終登場スターはこの蝶である
マイクロバス移動の途中に寄った普通の(タイ人しかいない)レストランの庭で小さな蝶が下草に止まっているのが目に入った
後翅のところに糸くずのようなもじゃもじゃしたものがついており、最初は信じられなかったがとにかくよく見ると蝶の尾状突起なのだ
日本でも(もちろんアジアにもたくさんいる)キマダラルリツバメのように2本の尾状突起を持つシジミチョウがいるのだが、こちらは2本のうちの1本がやたら長く微妙にねじれていてリボンのようになっている
周囲には蝶に興味がある人がいなかったので、あっけにとられながらも一人でシャッターを押した
すぐに飛んでしまったので一瞬の出来事ではあったが、今にして思えばまさに至福のひと時であった
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by mustachio | 2016-01-31 21:21 | Comments(0)


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