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還暦からのネイチャーフォト

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2017年 06月 14日

ロシア沿海州の自然1(概要・昆虫編)

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5月末から6月初めにかけてロシアへ行ってきた
ロシアといっても北海道からは西の方向へ目と鼻の距離の「沿海州」である
この地域はもともと中国(清)の領土だったようだが、日本の明治維新のころ帝政ロシアの領土に変わっている
沿海州自体は写真の地図のように広大だが、人口が集中しているのは南部のウラジオストク周辺で2枚目の拡大地図にある範囲で、我々が訪れた範囲もウラジオストクから拡大地図の北部にあるハンカ湖(中国との国境)周辺までである
ちなみに地図の左下は例の北朝鮮との国境である
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訪問の目的は例によってバードウオッチング
アジア地域の渡り鳥は冬を東南アジアで過ごし、繁殖期の夏をシベリアなど北国で過ごすものが多い
つまり夏の東部ロシアは野鳥の宝庫になるというわけだ
成田空港からは写真のような黄緑色のシベリア航空に乗りウラジオストクには2時間半で着く
東京よりは西(ちょうど四国の真北くらい)に位置にするのに標準時は日本より1時間早い
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沿海州の自然についてコメントする前に簡単にウラジオストクについて説明しておきたい
現地での説明は人口80万人とのことで、札幌には及ばないが大都市であることは間違いない
もともと港町として発達した都市で、冬でも凍結しない港はロシアにとって極東の最重要拠点になっている
町全体は完全なヨーロッパの都市でそれなりの雰囲気もあるが、多少違和感があるのが町を走る車の90%以上が日本車であること
しかもその大半が日本と同じ右ハンドル車で日本と逆の右側通行に対応している
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もう一つの特記事項はこの町がシベリア鉄道の終点に当たること
次の写真がそのターミナル駅だ
現地で聞いた話なので信憑性は保証できないがシベリア鉄道利用だとモスクワまで1週間の旅になるという
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ロシア沿海州の自然
このあたりで当ブログの本来のテーマであるネイチャーに話を戻そう
ウラジオストクに一泊した後、われわれバードウオッチングツアーの一行は貸し切りバスで北へ向かった
冒頭の地図でもなんとなくお分かりいただけると思うが、北の方向には広大な平原が広がっている
そのイメージがまさに北海道(特に十勝平野を中心とした地域)にそっくりなのだ
距離的にも大して離れていないので当然といえば当然だが、植物相がほとんど同じで、まさに初夏の北海道を旅したのと同じ感覚だった
さらにシベリア鉄道に沿って北へ移動するとスパースクダリニという町があり、われわれはここに連泊してハンカ湖周辺の水辺の鳥を探索した
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沿海州の住民はほとんどがロシア人(白人)で、東南アジアとは全く印象が異なる
ただ生活レベルはあまり高くないようで住宅なども古い木造建築がほとんどだった
英語はホテルや空港でもほとんど通じず、ロシア語は読むこともできないので、通訳がいない単独行の旅は難しいと思うが、スケールの大きい自然の中を勝手に歩くことができたら楽しいだろうと思う
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ロシア沿海州の自然・昆虫編
今回のツアー参加に当たっては昆虫・蝶についてはあまり期待をしていなかった
夏鳥の撮影がメインで初春の花の写真が少しでも撮れればいい程度の感覚でマクロレンズなども携行していかなかった
意外なことに5月の沿海州は春というよりもう初夏で、数は多くなかったが北海道と共通する昆虫(蝶)を見ることができた
現地の図鑑もないので正確ではないがとにかく日本の蝶と同じものが多く、種名も明確に判断することができる

サカハチチョウとアカマダラ
蝶に詳しい方は当然ご存じだがこの2種は外見がよく似ている(アカマダラのほうが少し小さい)
サカハチチョウの方は平凡な普通種で東京近郊にも多いがアカマダラは(日本では)北海道限定種で希少種である
蝶の写真を始めた頃このアカマダラ撮影を狙って北海道に遠征し、同じような場所に両種が混在するので識別に苦労したものである
沿海州はまさにその北海道の再現で、サカハチチョウとアカマダラが混在していた
最初の写真がサカハチチョウ(春型)、2枚目と3枚目がアカマダラ(春型)で、数はアカマダラのほうがはるかに多かった
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ヒメウスバシロチョウ
林道でウスバシロチョウを見つけた
正確には体毛に黄色い部分が見られないのでヒメウスバシロチョウの方である
日本ではウスバシロチョウは北海道南部から本州、ヒメウスバシロチョウは北海道中央部から北部と棲み分けができている(一部に混生地もある)
しばらく北海道へ行っていないので想定外の「再会」だった
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エゾシロチョウ
この蝶も国内では北海道固有種だが、北海道に行けば札幌の大通り公園にも飛んでいる普通の蝶だ
ロシアには数が多くないのか今回のツアーでは出会いが1回だけだった
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モンキチョウ
モンキチョウはユーラシア大陸にも日本にも広く分布するグローバルな普通種である
その普通種を今回は1度しか見かけなかった
とにかくシロチョウ類の数が少ない
勝手な推測だがロシアでは人口が少なく農地が広いので農業が機械化され農薬が頻繁に使用されているような気がする(薬剤散布中の農業機械を何回も見かけた)
沿海州の広大な自然を礼賛したいところだが少し気になるところではある(農地面積はそれほど広くはない)
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モンシロチョウ
日本の北海道には普通のモンシロチョウとは別にオオモンシロチョウという蝶がいる
もともと日本にいた蝶ではなく1995年以降ロシアから入り込んだ外来種だ
オオモンシロチョウは基本的にヨーロッパの蝶でウラジオストク周辺に定着したのも1990年代といわれている
さて写真のモンシロチョウだが判定が難しい
オオモンシロチョウは前翅の先端が尖っているのが特徴で自分でも北海道で撮影している
写真では少し尖っているように見えるが完全ではなく一応普通の(アジア系の)モンシロチョウということにしておきたい
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エゾスジグロシロチョウ
スジグロ系の蝶も判定が難しい
国内ではスジグロシロチョウ、ヤマトスジグロシロチョウ、エゾスジグロシロチョウの3種がいるが、国外では生息域からの種別判定はできない(ヤマトは国内限定のようなのでスジグロかエゾスジグロのいずれかになると思うが)
見た目の判断でエゾスジグロということにしておく
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ツバメシジミ
タンポポでシジミチョウが吸蜜していた
裏面が白いのでルリシジミと思ってカメラを向けたが、ファインダーを覗くと尾状突起が見える
ということはツバメシジミの仲間なのだがツバメシジミなら後翅外縁に赤い紋があるはずなのだ
かなり翅が傷んでいるので紋は擦り切れて消滅してしまったのだと思うが、ロシアの蝶についての情報は全くないので何とも言えない
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ルリシジミ
こちらが尾状突起のないルリシジミ
この蝶は平地から山地までどこでも見られる蝶でヨーロッパからアジアまで分布域も広い
ただ台湾ではこのルリシジミが超珍品だそうで、以前台湾で撮影したルリシジミの写真(下記リンク参照)にその旨のコメントをいただいている
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ジャノメチョウ
ジャノメチョウもユーラシア大陸には広く分布する
日本でも数が多く、いる場所では何十頭という数で群れていることが多い
ところが今回ロシアで目撃したのは写真の1頭だけ、広大な大自然の中でとにかく蝶の個体数が少ないのが気になってしょうがない
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ミヤマセセリ
年1回発生の早春の蝶
日本ではギフチョウ、ヒメギフチョウのシーズンにクヌギやコナラの林の周辺を飛び回っている
吸蜜シーンを見る機会は少ないがロシアではコンロンソウの白い花で吸蜜していた
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ミヤマカラスアゲハ
ミヤマカラスアゲハはタンポポで吸蜜していた
丸瀬布など夏の北海道ではミヤマカラスアゲハが飛び回っている
植物の様子など沿海州は北海道そっくりなので、この蝶の飛翔はまさに夏の北海道の再現だった
(本家はこちらかも知れないが)
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モモブトハナカミキリ
葉の上にハナカミキリを見つけた
13連敗の某野球チームのチームカラーである
ハナカミキリの名前は頭に入っていないので帰宅後図鑑を調べると「モモブトハナカミキリ」のようだ
1属1種の珍しい種類のようである
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チャイロクチブトカメムシ
こちらのカメムシはモモブトではなくクチブトらしい
「太い」のが多いのはさすがお国柄である
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ハグロトンボ
日本のハグロトンボに近い種類かと思うが詳細は不明
ただハグロトンボが中国やロシアに分布することは確認できている
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名称不明のトンボ
このトンボは北部のハンカ湖周辺でよく見かけた
というか、トンボらしいトンボはこのトンボだけであった
色彩的には茶色系なのだが、同じようなトンボが日本のトンボ図鑑では見つからない
現地では普通種のようだったのでどなたか名前をご存知の方がいらっしゃったらご教示いただきたい
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ロシア沿海州の自然1(概要・昆虫編)は以上です
「野鳥編」と「野草編」を整理中です




by mustachio | 2017-06-14 12:00 | Comments(0)


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