還暦からのネイチャーフォト

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2018年 06月 02日

5月の箱根・湿生花園

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今日はすでに6月に入ってしまったが、先週の土日、家内と箱根へ出かけた
長男一家が予約した熱海伊豆山のリゾートホテルが孫の都合で行けなくなり、こちらが肩代わりする形になったためだ
リタイアした後は土日の旅行を極力回避していたのだが、今回は渋滞覚悟で土日の1泊温泉旅行となった次第である

知り尽くしているといえば大袈裟だが、75年以上前から東京に住んでいるので箱根についてはだいたいのことがわかっている
観光地としてはトップクラスなのだが、自然環境という点ではいまいちで昆虫も植物も普通種ばかりで固有種のようなものは少ない
最近では整備が進みすぎて人工的なイメージが強くはっきり言って楽しくない

このシーズンは野草もほとんど見られないので今回はハイシーズンを迎えた木の花を楽しむことを主目的とし、自然観察については仙石原にある箱根湿生花園を訪ねてみることにした

箱根に咲く木の花

サンショウバラ
この時期、箱根の花(木本の花)といえばサンショウバラのようだ
とにかく箱根の「町の花」に指定されている特別な植物である
花は白からピンク系、葉が山椒に似ているので山椒薔薇というらしい
湿生花園でもあちこちで美しい花が見られた
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ミズキ
この時期街路樹としてピンクや白の花を咲かせるハナミズキについてはほとんどの方が名前をご存知だと思うが、こちらのミズキがわかる方は少ないと思う
同じミズキ科ミズキ属の植物だがミズキのほうは個々の花が小さく散房花序としてまとまらないと存在感がない
箱根はこの時期木の花が最盛期で、ミズキも所々で見ることができた
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ヤマボウシ
そのハナミズキに近縁なのがこのヤマボウシ(ハナミズキは北米原産の外来種で別名をアメリカヤマボウシという)
ヤマボウシは北海道を除く各地の山野に生え、6月ごろに白い4弁の花を咲かせる
(正確には花弁ではなく総苞片だが)
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カンボク
今回、湿生花園で初めて出会った植物
オオカメノキ(ムシカリ)によく似た花で、同じスイカズラ科なのだが葉が3中裂するのでイメージは全く違う
漢字だと「肝木」で北日本に生えるという
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ヤブデマリ
こちらは箱根では普通の植物のようだが個人的には今回初めて勉強した
スイカズラ科ガマズミ属なのでオオカメノキ(ムシカリ)の近縁種、周囲の装飾花は純白だが中心の花は赤っぽく直径5~6ミリと小さい
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ドウダンツツジ
ドウダンツツジは園芸植物として個人の庭(垣根)などにも植えられるので子供の頃から慣れ親しんでいる
最近の東京の住宅事情ではドウダンツツジの植栽など考えにくくなってしまったが
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サラサドウダン
こちらのドウダンは山の花で(標高にもよるが)普通7月ごろに咲く
湿生花園ではもう花が咲いていた
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ムラサキツリガネツツジ
こちらは箱根や丹沢など神奈川県の山岳部でしか見られないツツジ、山地に生えるウラジオヨウラクの仲間である
撮影したのは湿生花園の中だが、赤紫のツリガネはなかなか印象的だった
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ウツギ
「夏は来ぬ」の歌詞にある「卯の花」はこのウツギのこと
旧暦4月が卯月なのでウツギはまさにこの時期の花だ
分類的にはユキノシタ科ウツギ属の植物である
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ミツバウツギ
湿生花園ではミツバウツギという植物に出会った
ウツギと同じ仲間かと思ったが独立種でミツバウツギ科だという
花は純白で完全には開かない個性的な形だった
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ハコネウツギ
こちらもウツギという名前でしかもご当地の箱根を冠に戴くのだがウツギとは種類が異なりタニウツギ(スイカズラ科)の仲間だという
花の色が白から赤に変わる珍しい植物で箱根のあちこちでこの花を観察することができた
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箱根湿生花園の植物

湿生花園は昔から仙石原にある植物園
何十年か前に何回か訪れたことがあるが定かな記憶はない
基本的には劣化しつつある仙石原湿原の植生を保護するために設立されたようで、現在では各地から湿地を好む植物を収集し育成しているので、箱根には本来生息しない植物を見ることができる

写真掲載はわかりやすく水生植物から始めることとしたい

アサザ
まずはアサザ
昔は池や沼に普通に見られた植物だと思うが、一時期、生活排水による富栄養化のために危機に瀕したこともある
アサザはリンドウ科で、同じ科のガガブタやミツガシワのように花弁の縁が糸状に裂けるところが面白い
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コウホネ
コウホネなどの植物を見る機会がほとんどなくなったのは、われわれが住む周辺から池や小川などが消失したからに他ならない
用水池などがあっても周囲に柵が設けられ、植物は排除されている
これは普通のコウホネ(スイレン科)だが、希少価値でネームバリューのあるオゼコウホネなどより普通のコウホネのほうが先になくなってしまうのではないか
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ヒツジグサ
未の刻(午後2時)に咲くからヒツジグサというがそんなことはない
撮影は午前中だったがちゃんと花が咲いていた
この花はなぜか一般的な人気があり、観賞用として長く種族維持ができそうな感じがする
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ヒオウギアヤメ
アヤメ科の植物は似たようなものが多いが、最近ではある程度識別ができるようになってきた
まず花弁に綾の目があるのがアヤメ科ヒオウギアヤメ
アヤメのほうは予想に反して水辺の植物ではなく草原の植物なので、湿生花園にあるのはヒオウギアヤメのほうである
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カキツバタ
「いずれがアヤメ、カキツバタ」といわれるようによく似ているが、こちらは花弁に綾目がなく1本の白い筋がある
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ノハナショウブ
ノハナショウブは葉の中央に盛り上がった筋があるのが特徴だが、花でも区別ができる
こちらは花弁の筋が黄色いのだ
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園の中は高層/低層湿原の植物とかヌマガヤ草原の植物とか湿生林の植物とかで区画が分けられているのだが、観察順路も一定でないため撮影順では整理がつかない
今、花が咲いているものに限定されるが、とにかく数が多いので、一応分類順に整理してみることにした
スタートはキク科でラストはユリ科である

ハヤチネウスユキソウ(キク科)
ハヤチネウスユキソウが箱根で見られるなんて「想定外」だが、動物園でアフリカゾウやライオンが見られることを思えば不自然ではない
この花は20年ほど前の仕事現役のころ休暇を取って早池峰山に登り野生の姿を見ている
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ミヤマヨメナ(キク科)
ヨメナの仲間も種類が多くややこしい
図鑑をチェックしていて気が付いたのだが一般的にヨメナ系は秋の花でミヤマヨメナだけが4~7月に咲く春の花だという
時期が異なれば識別の必要がなくなるので外形的な特徴を記憶するのをやめた
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ハンカイソウ(キク科)
「半開草」ではなく「樊噲草」がまさに半開だった
この花は大きさや色の感じがマルバダケブキによく似ているが、東日本には生育しない西日本の植物だ(葉の形状はマルバダケブキと全く違う)
最近この花を見たのは大分九重のタデ原湿原  鮮やかな黄色の花がまだ目に焼き付いている
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ムシャリンドウ(リンドウ科)
この花は北海道原生花園の花
オホーツク海岸で何回も出会っている
ただ北海道のムシャリンドウは7月の花で5月に見られるのはピンとこない
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オカタツナミソウ
青紫の花がかたまって咲くので存在感がある
過去の出会いをチェックしてみたがタツナミソウやコバノタツナミソウは見ていてもオカタツナミソウは初見のようだ
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ワスレナグサ(ムラサキ科)
いかにも日本の花らしいネーミングだがワスレナグサは帰化植物
山里の湿った場所などに繁茂していることが多い
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エゾルリソウ(ムラサキ科)
エゾルリソウは北海道の高山に生えるムラサキ科ハマベンケイソウ属の植物で、ベンケイソウ科ではない
もちろん今まで見たこともない花でブルーが美しかった
今後フィールドで自然のエゾルリソウを見るのは難しいかもしれない

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クサタチバナ(ガガイモ科)
初めて見るような気はしないが、わがホームページ「日本野草図鑑」に乗っていないので初見なのだろう
このように大きくて純白な花がフィールドで見られたら感動すると思う
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チョウジソウ(キョウチクトウ科)
こちらも初対面の花
湿った草地に生える植物なのだが最近はほとんど見られないようだ
20世紀に発行された植物図鑑にはちゃんと載っているのに、最近の図鑑には名前が出てこない
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サクラソウ(サクラソウ科)
我が家からも近いさいたま市の田島ヶ原に自生するサクラソウ
保護が行き届いているのでしばらくは健在だと思うが、群馬県のフィールドであるバラギ湖などでは激減している
考えてみればサクラソウも明らかに湿地植物であるが、この時期に平地性のサクラソウに出会えるとは思っていなかった
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クリンソウ(サクラソウ科)
こちらのクリンソウも群馬のマイフィールドから消滅しつつある花
山岳部では鹿の食害による危機もあるようだ
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ツルコケモモ(ツツジ科)
ツルコケモモは高山植物、というか高層湿原の植物である
今まであちこちで見ているのだがどういうわけか写真が少ない(唯一北海道の湿原で撮ったものが残っている)
確か志賀高原などにも多かったように思うので近いうちに撮りなおしたい
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ハクサンタイゲキ(トウダイグサ科)
こちらも高山植物
名前の通り白山でも、栂池でも、八方尾根でもいろいろなところで出会っている
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カキノハグサ(ヒメハギ科)
名前は聞いたことがあるが見たことはない(カキノハズシを食べたことはある)
中部から近畿にかけて地域限定の植物のようだ
写真はまだ蕾の状態で、先がオレンジ色の黄色い花を是非見てみたいと思っている
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エゾノレンリソウ(マメ科)
レンリソウは湿った草地に生えるマメ科植物なのだが残念ながらまだ出会ったことがない
看板表示によれば写真はエゾノレンリソウだそうだが詳細は不明である
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マルバシモツケ(バラ科)
マルバシモツケといえば夏の那須岳を思い出すほど印象が強い
というか他の場所でこの植物を(意識して)見たことがない
まだ5月なのに箱根ではもう咲き始めているのが不思議だ
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ハマナス(バラ科)
こちらも夏の花なので「5月の箱根でハマナス」というのはミスマッチ感が強い
「網走番外地」の影響もあってオホーツクの花のイメージが強く、箱根のハマナスにはどうしても違和感が残る
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ヤグルマソウ(ユキノシタ科)
登山道でよく出会う植物なので最近では図鑑に頼らず名前がわかるようになっている
確かに沢筋に多い湿地を好む植物のようだ
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エゾノキリンソウ(ベンケイソウ科)
北海道に生えるキリンソウの仲間
普通のキリンソウは葯の色が黄色で目立たないが、エゾノキリンソウは葯の色が赤いので全体的な感じがだいぶ違う
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ヤマブキソウ(ケシ科)
花の色はヤマブキそのものだが花弁が4枚でヤマブキとは印象が違う
同じケシ科なので当然といえば当然だがクサノオウによく似ている
(クサノオウも花弁は4枚だ)
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カザグルマ(キンポウゲ科)
カザグルマは栽培種クレマチスの原種に当たるキンポウゲ科の花
大輪で野生の花とは思えない精緻な美しさがある
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センジュガンピ(ナデシコ科)
マイフィールドである群馬県の野反湖の沢沿いで毎年確実に会うことができる白いナデシコ
現地では数が増えてきているような感じがする
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シナノナデシコ(ナデシコ科)
こちらは初対面のナデシコ
普通のナデシコ(カワラナデシコ)と異なり花弁の先の切れ込みが少ない
花の中心部を囲む環状道のような濃色の斑紋があり華やかな印象のナデシコだった
長野県の高山の砂礫地に咲く高山植物のようで、湿生花園とはどのようなご縁があるのか不明である
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エビネ(ラン科)
感覚的にはどこにもありそうなエビネだが、今頃自然状態のエビネを見つけることは難題かも知れない
車でどこへでも行ける時代なので珍しい植物はあっという間に盗掘されてしまう
(実をいうと東京の我が家の庭にも何十年も前に友人からもらったエビネが毎年咲き続けているのであまり厳しいことは言えないが)
考えてみれば、今までに全く自然のままの野生のエビネは見たことがないかもしれない
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ハクサンチドリ(ラン科)
高山植物だが北海道などでは平地にも数が多い
最近、高山に上る機会が少ないので最新事情は分からないが、数は減っていないような気がする
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シラン(ラン科)
山岳部の湿地などでよく見かけるシラン(紫蘭)
チェックしてみたらわがホームページ(日本野草図鑑)にシランの項がないことに気が付いた
暇ができたら整理改修を、と思っているがなかなか手が回らない
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シライトソウ(ユリ科)
この花は今まで見たことがないと思う
白い花穂がまっすぐ伸びてリング状にたくさんの小花をつけている
湿り気の多い崖などに生えるというが、インターネットをチェックしてみたら武蔵丘陵森林公園に多数の株が植えられているとのことだった
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ナルコユリ(ユリ科)
こちらはこの季節の花
ナルコユリとアマドコロがよく似ていて見わけが難しいが、茎が丸いのがナルコユリで角ばっているのがアマドコロである
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クロユリ(ユリ科)
高山植物なので自然状態の花期は7月だと思う
箱根のようにそれほど標高が高くないところでは5月に花が咲くのだろうか
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ニッコウキスゲ(ユリ科)
昔はいろいろな場所で群落が見られたが、昨近は鹿の食害で激減している
箱根湿生花園ではちょうど咲き始めたころ合いで蕾が数多く残っていた
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ヒメサユリ(ユリ科)
仕事からリタイアする前の話なので15年以上前だということはわかっていたのだが
福島の高清水高原に日帰りでヒメサユリの写真を撮りに行った記憶がある
わがホームページ(日本野草図鑑)にヒメサユリの項がないので古いハードディスクのデータなどを調べてみるとその撮影日は1997年6月21日だった
写真もアナログの時代だが、よく撮れたものはディジタル化してあったので、ホームページを作る際、データを落としてしまったのだと思う
今回箱根でヒメサユリに再会したのでこれを機会にホームページのほうも改訂(項目追加)していきたい
考えてみると福島での最初のヒメサユリとの出会いは20年以上前のことだったが、箱根のヒメサユリも清楚で美しかった
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by mustachio | 2018-06-02 18:00 | Comments(0)


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