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還暦からのネイチャーフォト

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2018年 07月 21日

悲願達成「クロヒカゲモドキ」

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2018年7月20日が「クロヒモ記念日」になった
「クロヒモ」は「クロヒカゲモドキ」という蝶の略称である
マイブログリピーターの方はご存じなのだが、15年間この蝶を探し求めてやっとお目にかかれたのがこの蝶なのだ

私の開設しているホームページの一つに「還暦からの日本の蝶250種(旧タイトル230種)」というのがある(下記リンク参照)

自分で撮影した日本の蝶の写真をまとめたものだが、掲載種(日本で撮影した「日本の蝶」)が249種しかなく何とか名実ともに250種にしたいと思いながら2年が過ぎてしまっていた
課題として残っていた蝶がこの「クロヒカゲモドキ」である
ひと昔前までは普通種の蝶でわりと簡単に見ることができたのだが、ここ10年で絶滅危惧種になり関東ではほとんど見られなくなってしまった
15年前に蝶の写真を始めた頃はあまり意識しなかったのだが、撮影した蝶が200種を超えるころから何とかクロヒカゲモドキを撮りたいと思うようになった
発生時期が7月中旬から8月上旬なので、ここ5年はこの時期に韮崎など山梨県のポイントに毎年何回も通った
一昨年などはこの蝶の撮影のため九州の黒川温泉まで足を延ばしたが不本意な結果に終わっている
今年も北杜市の明野町へ出かけたが空振りで、今回は心機一転栃木県の某ポイントに出かけてみることにした

それが7月20日 猛暑が続く中、家内と二人山道を歩いてやっと念願のクロヒカゲモドキに出会ったのである
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ブログのマナー上、場所は明確にできないし、写真のGPSデータも消してあるが、この場所には捕虫網を持ったクロヒモ狙いの採集者が数名来ていた
採集者にとっては有名なポイントのようだ
フィールドで出会う採集者はほとんどが高齢者なのでそのうち消えてなくなるとは思うが、希少種の蝶が絶滅しないよう切に願う次第である

クロヒカゲモドキ
栃木県のこのポイントに関しては複数の情報源から情報を得ていたので棲息は間違いないと確信していた(時期的には7月下旬がベストなのだが今年は季節の進展が早めなので多少の不安はあった)
家内と二人太陽の照り付ける林道を歩いてみたが、出てくるのはジャノメチョウばかり
めげずに根気よく探しているうちにジャノメチョウより色が薄く少し小型の蝶が崖の近くを飛んでいるのを見つけた
遠くからではわからないのだが望遠レンズで前翅裏面の「蛇の目」を確認すると三つの紋の下側が最大になっている(そこがクロヒカゲなど他の蝶との最大の相違点なのだ)
葉陰で条件は厳しかったが望遠レンズで何とか撮影し「達成感」に浸った
その後、林道でジャノメチョウの集団吸汁を見つけたが、なんとその集団の中にクロヒカゲモドキが混じっているのも見つけた
クロヒカゲやヒカゲチョウによく似ているが、蛇の目紋がはっきりしていて、メリハリのあるデザインであることを今回初めて認識した

クロヒカゲモドキは夕方遅い時刻に活動することは十分承知していたが、生憎空が真っ黒になり雷も鳴り出したので当日は3時前には撤退した
それでもホームページ「日本の蝶250種」に載せる写真は十分撮影できたので近いうちに改定することとしたい
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今回号のブログについては「クロヒカゲモドキ撮影成功」のご報告だけで用が済むのだが、慣例もあり、蛇足を承知で当日の撮影記録をレポートしておく

ジャノメチョウ
フィールドで数が多かったのはジャノメチョウ
山梨のフィールドでもジャノメチョウが多く、一瞬ドキッとするのだが、現実にはこちらのほうがだいぶ黒いのですぐに識別はできる
ただ両種が獣糞で吸什していたところでは、クロヒカゲモドキに気が付かず危うく見逃してしまうところだった
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なおクロヒカゲモドキ近似種の(というより本家の)クロヒカゲは、当日全く姿を見せなかった

コミスジ
他のタテハ系はコミスジくらい
ホシミスジは見ていない
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キチョウ(キタキチョウ)
猛暑のせいかキチョウはもっぱら吸水中だった
熱中症対策だろうか
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ツバメシジミ
シジミはツバメシジミ
この蝶の撮影は野鳥撮影用の長いレンズでは難しく、マクロレンズが威力を発揮する
オスのライトブルーが非常に鮮明で美しい
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ヒメキマダラセセリ
ススキが多い林道だったのでセセリ類も飛んでいた
まず撮影したのがヒメキマダラセセリのメス
しばらく見ていなかったような気がする
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ホソバセセリ
クロヒカゲモドキと相性がいいのか悪いのか、ここ10年くらいクロヒカゲモドキを探しに行って振られるパターンが何回もあったが、その時必ずこのホソバセセリには出会っている
生息環境と発生時期がピッタリなのだろう
クロヒカゲモドキは完全な絶滅危惧種になってしまったが、ホソバセセリはいたって健在である
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ヒグラシ
周囲ではヒグラシが鳴き始めていた
子供のころカナカナゼミとして親しんだあのヒグラシである
林道の脇にたまたま止まっていたセミをヒグラシと思い込んで撮影したが、考えてみるとヒグラシとハルゼミ系のセミはよく似ている
発生の季節も生息域もずれているので「識別」など意識してこなかったが、フィールドと時期に寄って両者が混在する可能性があるので、もう一度識別の勉強の必要性を感じた
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オオシオカラトンボ
ごく普通のシオカラトンボはここ数年見たことがないのに、またオオシオカラトンボに出会った
子供のころシオカラトンボやムギワラトンボ(シオカラのメス)は都会の住宅地の庭で普通に見られたのだが、下水が暗渠になった今では生息環境が消滅してしまったのではないだろうか(地方都市でもトンボを見る機会は少ない)
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アキアカネ
夏の暑さを避けて集団移動するせいだろうか、このアキアカネはそれほど数が減っていないように思う
(写真を撮るフィールドが赤トンボの避暑地になっているせいだろうか)
今回のフィールドでも赤トンボは皆(確認した限り)アキアカネだった
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イタドリの葉に見慣れない蜂がいた
顔の部分が黄白色の長い毛で覆われている
いろいろ調べてみたが手持ちの資料では該当種が見つからなかった
ネットの発達した現在でも「類似画像」の検索は難しい
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ブチヒゲカメムシ
モウズイカの花に今まで見たことがないカメムシがいた
カメムシは美しい種類も多く好きな昆虫なので見つければ写真を撮るようにしている
農業従事者からは目の敵にされる害虫で立派なカメムシ図鑑も発行されているが価格が高いので手に入らない
インターネットで調べた結果、名前はブチヒゲカメムシと判明した
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イタドリ
植物に関しても目ぼしいものはなかった
川に沿ったフィールドなのでイタドリが花盛りだった
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ナワシロイチゴ
正確な分類名ではなく「野イチゴの仲間」程度のタイトルである
実の部分をクローズアップした植物図鑑が手元にないので写真から種名を判断することは非常に難しい
野イチゴの仲間は似たような種類が多すぎるのだ
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ネジバナ
ネジバナはラン科の植物
日の当たる草地などによく見かける全国区の花
花序がねじれているのが特徴で花の色も美しく見つけるとレンズを向けることが多い
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イケマ
こちらは夏の花
個人的な思い入れでは「キバネセセリという大型のセセリチョウが集まる花」というイメージが強い
もう一つ、個々の花が良く見ると人間の顔のように見えるのが興味深い
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ビロードモウズイカ
この栃木の林道には「見たことがあるけれど名前が思い出せない植物」があった
齢のせいで固有名詞が浮かんで来ないことはよくあるので、何とかその場で思い出すよう努力している
現地でも試行錯誤して何とか「モウズイカ」という名前を思いついたが、確証がないまま写真を撮った
帰って調べてみると図鑑の索引に載っていない
何種類かの植物図鑑を片っ端から探して何とか「ビロードモウズイカ」にたどり着いた
帰化植物なので掲載していない図鑑も多いが、タワー状の個性的な植物である

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by mustachio | 2018-07-21 23:00 | Comments(0)


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